鉄道会社が荷物の輸送に取り組む現場に密着した連載の2回目は、2021年5月から新幹線での輸送を始めたJR九州を取り上げる。豪華列車「ななつ星 in 九州」の担当から荷物輸送という新事業に送り込まれた新山夏江氏は、荷主の開拓だけでなく、駅でのイベントやECサイトでの販売を通じて需要を生み出す。

JR九州は5月から荷物輸送を始めた
JR九州は5月から荷物輸送を始めた

 「鉄道の荷物輸送はとにかくやってみないと。正解がないから、走りながら考えている」。JR九州の鉄道事業本部営業課で列車物流プロジェクトを担当する新山夏江氏は笑顔で話す。

 新山氏は21年4月に荷物輸送の担当になるまで2年間、クルーズトレイン本部に所属し、豪華列車「ななつ星 in 九州」のブランド管理に携わってきた。最低でも1人40万円、最も高いプランでは160万円を超える至極のおもてなしを考える立場からいきなり、荷物を運ぶという事業に取り組むことになった。

新山夏江氏はJR九州を代表する観光列車「かわせみ やませみ」「ななつ星 in 九州」を担当してきた
新山夏江氏はJR九州を代表する観光列車「かわせみ やませみ」「ななつ星 in 九州」を担当してきた

 荷物輸送の構想は新型コロナウイルス禍の前からあったが、検討が具体化したのは乗客が急減したコロナ禍発生後のこと。20年8月に佐川急便との協業検討を発表し、同年12月、九州の南北を縦に貫く九州新幹線の博多~鹿児島中央間で初めてのテスト輸送を実施。21年2月と3月にもテストし、正式に事業化を決めた。

 5月18日、博多駅から鹿児島中央駅へは1日2便、鹿児島中央駅から博多駅へは1日3便、新幹線を使って荷物を運ぶ定期輸送サービスを始めた。「定期的に利用する荷主がまだいない状態でも、とりあえずスタートさせた」(新山氏)。需要開拓に奔走する日々が始まった。

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この記事はシリーズ「佐藤嘉彦が読む鉄道の進路」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。