前回の記事では、2020年7月の豪雨災害から不通が続く熊本県のJR肥薩線について紹介した。同じ九州で今、ようやく復旧に向けて動き始めているのが福岡県と大分県を走るJR日田彦山線だ。もっとも鉄路の復活はかなわず、線路跡を専用道に変え、バスを走らせる「BRT(バス高速輸送システム)」となる。JR九州の古宮洋二社長は「今後のローカル線再生に向けたモデルケースにする」と意気込むが、鉄道の面影を残したい地元自治体との妥協の産物にすぎないという見方もある。

 「BRTひこぼしライン」――。そんな愛称の新路線が2023年夏に開業する。正式名称は日田彦山線BRT。北九州市と大分県東部の日田市とを結ぶ日田彦山線の添田(福岡県添田町)―夜明・日田(大分県日田市)間が、一部区間で専用道を走るBRTに生まれ変わる。JRでは、JR東日本の気仙沼線BRT(宮城県)、大船渡線BRT(宮城県・岩手県)に次ぎ3路線目となる。

23年夏に運行を始める「BRTひこぼしライン」の小型電気バス。JR九州の若手社員がデザインした
23年夏に運行を始める「BRTひこぼしライン」の小型電気バス。JR九州の若手社員がデザインした
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 ここに至る過程は、今後のあり方が模索されている肥薩線とうり二つだ。17年7月の豪雨災害で63カ所の被害が発生し、不通に。18年4月からJR九州、福岡県、大分県、沿線の3市町村による「日田彦山線復旧会議」が立ち上がり、今後の方向性を巡って議論が始まった。被災前の17年3月期、この区間の輸送密度(1キロメートルあたりの1日平均旅客輸送人員。平均通過人数とも言う)が131人にすぎず、年間2億6000万円の営業赤字が出ていたことから、JR九州が鉄道での復旧に難色を示したためだ。

 JR九州は3つの案を提示した。1つ目は鉄道での復旧だが、地元自治体が運行経費の一部を負担するなど、1億6000万円の収支改善が図られるのなら、という条件を付けた。2つ目は一般道を走るバスへの転換。そして3つ目が、添田町と東峰村の間を直線的に抜ける鉄道のトンネルを活用したBRT。この2つであれば、全額をJR九州が負担するとした。

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