1日1km当たり平均利用客数を示す「輸送密度」がたった9人。JRで最も利用客数が少ないのが芸備線の東城(広島県庄原市)~備後落合(同)間だ。100円の収入を得るのに2万6906円の経費がかかっている。沿線自治体はこの赤字ローカル線の存続を願うが、果たして収支改善は可能なのか。

「秘境のターミナル駅」と呼ばれるJR芸備線の備後落合駅
「秘境のターミナル駅」と呼ばれるJR芸備線の備後落合駅

 6月末の土曜日、私は中国地方での取材を終えたその足で、かねて一度訪れてみたいと思っていた備後落合駅(広島県庄原市)へと向かった。

 備後落合駅は、鉄道好きの間では「秘境のターミナル駅」として知られている。広島駅(広島市)と備中神代駅(岡山県新見市)を結ぶJR芸備線と、宍道駅(松江市)から延びるJR木次線が接続するから「ターミナル駅」。ではなぜ「秘境の」と枕ことばが付くのか。それは山深い中国山地に位置しているうえ、利用客が極めて少ないからだ。

 2020年度の輸送密度(1日1km当たりの平均利用客数。平均通過人員とも言う)は、備後落合から広島方面の芸備線(備後落合~備後庄原間)で63人、島根県方面の木次線(出雲横田~備後落合間)は18人、そして岡山県方面の芸備線(東城~備後落合間)はなんと9人しかいない。この9人という数値は全国のJRグループで最も少ない(災害などによる不通区間は除く)。

 利用客が少ないということは当然、多額の赤字を計上しているということでもある。JR西日本は22年4月に、会社発足以来初めて、輸送密度2000人未満の線区について18~20年度平均の収支を公表した。それによると芸備線(備後落合~備後庄原間)は100円の収入を得るために5260円の経費がかかっているという。同様に木次線(出雲横田~備後落合間)は8119円。芸備線(東城~備後落合間)はなんと2万6906円もかかっており、運賃収入で経費の0.4%しかまかなえていないという衝撃的な事実が明らかになった。

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 備後落合駅は、このJR西において収支ワースト3の線区が集まる中心に位置する。どれだけ閑散としているのか、この目で確かめておきたかった。

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