東武鉄道と東京メトロが、埼玉県東部から東京都心への交通サービスを向上させようと「座席指定車」の運行を始めた。朝、夕の通勤時に走らせる。すべての席が指定のため、密な状態を避けられる。ただ、座席指定車からあぶれた人が普通の列車に乗り込めば逆に混みあう状況が生まれるのではないか、という懸念もある。このため座席指定サービスを中断している鉄道会社もある。

THライナーは東武伊勢崎線から東京メトロ日比谷線へ直通。都心まで座って通勤できる

 埼玉県東部の久喜市は東京のベッドタウンとされてきた地域のひとつだ。ここにある東武伊勢崎線久喜駅から、東京都心の日比谷線恵比寿駅へ、6月6日から新たな列車が走り始めている。東武鉄道と東京メトロが運行する座席指定制列車「THライナー」だ。

 全員が着席して通勤できる。新型コロナの感染が広がる前から計画していたサービスだが、東武鉄道は「コロナ後の新しい生活様式に合致している」と、集客を期待する。

 この連載の記事「京成スカイライナー、青砥駅に異例の臨時停車 乗客確保へ試行錯誤」で取り上げたように、鉄道各社はコロナ後を見据えて事業の変革を迫られている。様々な企業が取り組んでいる座席指定サービスはその一つになると見込まれている。

 東武はコスト削減の工夫を凝らしており、シートの位置を変えて通常の車両としても使えるようにした。朝と夕のラッシュ時にTHライナーとして走る場合は、座席を進行方向に向け、ゆったり座れるクロスシートとなる。それ以外のときは、窓を背にしたロングシートとなり、通常の列車として使う。

THライナーとして走るときはクロスシート(写真上)、通常の列車として走るときはロングシート(下)になる

 東武はこれまでも、座席指定制の特急をラッシュ時間帯に運行してきた。ただ、都心へ向かうには浅草駅や北千住駅で地下鉄などに乗り換える必要があった。THライナーは東京メトロと組むことによって、利用者は銀座駅や霞ケ関駅、開業したばかりの虎ノ門ヒルズ駅などへ直接向かえるようになった。

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