コスト削減に追われるJRで、有人の切符売り場「みどりの窓口」を閉鎖する動きが相次いでいる。JR東日本は5月、25年までの閉鎖計画を発表した。それより半年早く大量閉鎖の具体的な計画を打ち出したのがJR西日本だ。どうやって実行に移すのか。同社がコロナ下で進める改革を取材した。
2020年12月22日の夜、北陸新幹線の糸魚川駅(新潟県)の切符売り場「みどりの窓口」の営業が終了した。翌23日には隣の黒部宇奈月温泉駅(富山県)のみどりの窓口も閉鎖。新幹線の駅からみどりの窓口がなくなったのは、全国で初めてのことだ。
この約1週間前、JR西日本の長谷川一明社長は記者会見で、今後の駅の業務体制について衝撃的な数字に言及していた。
20年度初めに約340駅にあった窓口を、22年度末までに約180駅に半減させる。これによって22年度末時点で年間15億円の人件費削減を見込む。さらに、30年度末には約100駅まで減らすとした。20年度からの10年間で7割減らすことになる。

人口減少による労働力不足や利用客の減少は避けられず、窓口閉鎖は以前から課題となっていた。ただ、JR西がその全体像を示したのはこのときが初めてだった。駅業務部の高本浩明担当部長は「コロナ禍で閉鎖の計画を早めることにした」と話す。
「利便性が低下する」自治体の反発
北陸から近畿、山陽、山陰に点在する各支社の担当者は、地元自治体への説明に追われている。自治体からは当然、「利便性の低下は受け入れられない。窓口は従前通り続けてほしい」という厳しい反応が返ってくる。
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