約1年2カ月ぶりに運行を再開した豪華寝台列車「TWILIGHT EXPRESS 瑞風(みずかぜ)」。前回の記事では、新型コロナ対策として食堂車での食事をやめて部屋食に変える決断を取り上げた。食堂車のオープンキッチンから最長80m離れた個室へ食事を運ぶというオペレーションは実現できたが、サービスの組み立て方を根本的に見直さなければならない状況に追い込まれた。コストの増加は避けられず、約5万円の値上げに踏み切った。

 「皆様、アペリティフタイムの用意が整いました。指定された車両へお越しください」

 4月14日に運行再開した瑞風。17時30分ごろにこんな車内アナウンスが入る。立ち寄り観光から戻って一息ついていた乗客が、1号車と10号車の「展望車」や5号車の「ラウンジカー」に三々五々集まってくる。

 アペリティフとはフランス語で食前酒を指し、シャンパンなどとおつまみが振る舞われる。4月から新設されたサービスだ。

シャンパンを飲みながら流れゆく夕景を楽しむアペリティフタイムが新設された
シャンパンを飲みながら流れゆく夕景を楽しむアペリティフタイムが新設された

 乗客が夕景を眺めながらゆったりと過ごす裏で、サービスクルーたちは新たな作業に忙しい。部屋食の準備のため、各個室のテーブルを組み替えてテーブルクロスを掛け、食器を並べなければならない。

 そのためには乗客に一旦、個室外へ出てもらう必要があり、そのためにアペリティフタイムが設定された。そして、部屋食にしたことによるしわ寄せはこれだけにとどまらなかった。

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この記事はシリーズ「佐藤嘉彦が読む鉄道の進路」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。