3月12日、JR各社をはじめ多くの鉄道会社でダイヤ改正が行われる。新型コロナウイルス禍になって2年あまり。1年前の2021年3月ダイヤ改正では主に終電時刻の繰り上げに注目が集まったが、今年は鉄道利用がコロナ前には戻らないことを前提に、利用実態に即した運行形態の見直しが顕著になっている。JR東日本とJR西日本は1987年の会社発足以降、自然災害によるものを除いて最大の削減幅となるが、内容を細かく見ると、利用客数に応じて線区ごとに削減幅のメリハリをつけていることがわかる。

 湘南新宿ライン、上野東京ライン、そして相鉄・JR直通線――。JR東日本は2000年以降、首都圏で積極的に直通運転を増やし、乗り換えの手間を省くことで利便性の向上を図ってきた。しかしこの3月のダイヤ改正では、これまでとは打って変わって直通運転を取りやめる路線が目立つ。常磐線では日中の時間帯、上野駅から水戸の先の勝田駅(茨城県ひたちなか市)まで直通運転していた普通列車が土浦駅(茨城県土浦市)止まりになる。宇都宮線(東北本線)では、都心と黒磯駅(栃木県那須塩原市)を結んでいた普通列車がなくなり、すべて宇都宮駅で乗り換えとなる。また、朝夕ラッシュ時に行われていた中央快速線と八高線の直通運転、横浜線と相模線の直通運転も廃止になる。

中央快速線から八高線の高麗川駅(埼玉県日高市)まで直通していた列車は廃止になる
中央快速線から八高線の高麗川駅(埼玉県日高市)まで直通していた列車は廃止になる

 この動きはJR東だけではない。小田急電鉄も、江ノ島線の運行を特急ロマンスカーなど一部列車を除いて藤沢駅(神奈川県藤沢市)を境に分断。新宿駅方面からの列車は藤沢駅止まりとなり、藤沢駅~片瀬江ノ島駅(神奈川県藤沢市)間は折り返し運転となる。

 利用者にとって便利な直通運転だが、実は鉄道事業者にとってはデメリットが少なくない。

 首都圏の鉄道輸送は、都心に行くほど乗客が増え、郊外に行くほど乗客が減る都心一極集中型だ。都心部の需要に対応するために10両編成前後の長い車両を走らせているが、都心から離れるとガラガラの状態で走ることになる。例えば常磐線では、これまでグリーン車付きの10両編成か15両編成が水戸方面まで走っていた。しかし茨城県内では日中、そこまでの需要はない。そこで土浦駅から先は5両編成の別の電車を走らせることにしたのだ。

 小田急江ノ島線も、藤沢駅より都心側は最大10両だが、藤沢駅~片瀬江ノ島駅間は6両に統一するという。加えて、平日日中時間帯の本数を1時間当たり6本から5本に削減する。運行本数の削減は江ノ島線に限らず全線で実施され、「保有車両数を60両削減し、今後見込んでいた車両などの設備投資費用50億円や修繕費を削減できる」とする。

 乗客数に合わせて編成の長さを調整したいなら、途中駅で一部の車両を切り離せばいいという意見もあるだろう。確かに以前は多くの路線で切り離しや連結が行われていた。しかし今は、京急電鉄などに限られている。手間がかかるからだ。

 鉄道では衝突事故を起こさないよう、線路を一定間隔で区切り、同じ区間には2つの列車が入らないようシステム化されている。別々の列車を連結させるというのはその原則に反する。そのため、列車が衝突することなく安全に連結できるよう、特殊な信号システムの他、見張りの係員なども用意しなければならない。特に乗客を乗せたままの連結や切り離しは細心の注意を払う必要がある。効率化のため要員の削減が求められるなか、極力減らしたいというのが鉄道各社の本音なのだ。

列車を連結させる際には、駅係員が手旗信号で列車を誘導するなど人手がかかる
列車を連結させる際には、駅係員が手旗信号で列車を誘導するなど人手がかかる

 郊外路線では編成の長さを短くするだけでなく、車掌がいないワンマン運転にしようという動きもある。宇都宮線の宇都宮駅~黒磯駅間、八高線、相模線は、新型車両などの導入により、いずれも3月からワンマン運転が始まる。

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