JR九州が福岡市の香椎線で、営業列車を使った自動運転の実証実験を始めた。自動運転列車の営業運転はJRグループでは初。運転士は乗務しているが、前方の監視とドアの開閉をするだけで、列車の加減速はシステムが担う。目指すのは、運転士の代わりに前方を監視する係員を乗務させる「ドライバーレス自動運転」。あえて無人運転を目指さず、踏切のある路線にも導入できるようにして、ローカル線の運営コスト削減を目指す。

 2020年12月24日、香椎線の香椎~西戸崎(福岡市東区)間で、JRグループとしては初となる自動運転列車の営業運転が始まった。2両編成の列車が1日12往復する。21年度末までには運転区間や本数の拡大を目指すという。

 自動運転といっても、通常の列車との違いに気づく乗客は少ないだろう。運転席にはいつも通り運転士が座っているからだ。ただしハンドルには一切手を触れることなく、ドアの開閉と前方の監視だけを行っている。白い発車ボタンを押すと列車は自動で走り出し、駅のホームの決められた位置にピタリと止まる。「ベテランの運転士と比較すると、ブレーキのかけ方などこなれていない部分もある」(JR九州安全創造部自動運転プロジェクト主査の青柳孝彦氏)というが、乗り心地に大きな差は感じられない。

走行中、運転士は奥のハンドルは握っていない。その代わり、緊急時に備えて、手前の緊急停止ボタンに手を添えている

 開発の最終目標は、運転士の代わりに前方の監視とドアの開閉だけを担う係員を乗務させること。これを同社は「ドライバーレス自動運転」と呼ぶ。ただ国内ではすでに、東京の「ゆりかもめ」や神戸の「ポートライナー」などで無人の自動運転が行われている。JR東日本も上越新幹線や山手線などで無人運転を目指した自動運転の実証実験を行っている。しかしJR九州は「無人にはしないし、技術的にもできない」(青柳氏)と断言する。なぜか。

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