建設各社が取り組む “すごい”グリーン建設を紹介する本シリーズ。前回は防災用の砂防ダムを発電所に変えた例を紹介した(砂防ダムが発電所に? 日本工営が生んだ山形の「日本最大級」)。今回取り上げるのは、2021年5月に竣工した金沢市内のオフィスビル。電力に換算すれば180世帯が1日に使うエネルギーを貯蔵できる水素タンク群がビルの中に潜んでいる。

「建物に水素を貯蔵するなんて、爆発したらどうするんだ」。人々が感じるこんな怖さを乗り越えてビルを建設したのが清水建設だ。金沢駅からおよそ1kmの市街地に建設した北陸支店新社屋に、太陽光と水素を活用して電力を自給自足するシステムを導入した。
この新社屋は「BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)」で北陸地方初の「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」評価を受けた。ZEBとは消費するエネルギーの収支がゼロまたはマイナスとなる建物だ。新社屋の建設プロジェクトに携わった清水建設技術研究所の下田英介主任研究員は「金沢は冬が長く曇天も多い。出力の変動が大きい太陽光発電を有効活用するために不可欠だったのが水素貯蔵の技術だ」と話す。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます
残り1382文字 / 全文1878文字
-
【春割】日経電子版セット2カ月無料
今すぐ会員登録(無料・有料) -
会員の方はこちら
ログイン
【春割/2カ月無料】お申し込みで
人気コラム、特集記事…すべて読み放題
ウェビナー・音声コンテンツを視聴可能
バックナンバー11年分が読み放題
この記事はシリーズ「江村英哲の「ひと×街×テック」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?