建設各社が取り組む “すごい”グリーン建設を紹介する本シリーズ。前回は建設業界が環境技術の開発に挑む理由を解説した。具体的な事例紹介の初回に取り上げるのは、川の流れを活用して発電する小水力発電。山形県の山あいにある大蔵村では、防災インフラである砂防ダムが「発電所」へと進化を遂げた。

山形県大蔵村にある「おおくら升玉水力発電所」。土砂災害から集落を守る砂防ダムを活用した
山形県大蔵村にある「おおくら升玉水力発電所」。土砂災害から集落を守る砂防ダムを活用した

 山形県の新庄駅から車でおよそ30分。最上川の支流、銅山川が流れる大蔵村の山あいに、知られざる“日本最大級”の施設がある。

 一見すると、何の変哲もない砂防ダム。土砂災害を軽減するために下流に流れようとする土砂を貯留する防災インフラだ。その砂防ダムの下流に向かって左手(左岸)に、周囲をコンクリートの壁で囲まれた施設がある。これが、2021年9月に稼働を始めた小水力発電所「おおくら升玉水力発電所」だ。銅山川の水流を利用して年間約3500メガワット時の発電が可能で、発電量は一般家庭1200世帯分に相当する。

 何が日本最大級なのか。砂防ダムに明けた穴の大きさだ。開口部の大きさは幅3~4m、高さ1.8mある。穴を大きくするほど利用できる水流は増えるが、難度が跳ね上がっていく。「防災の設備である砂防ダムに大きな穴を開けるのは常識外れ。最新の手法を使って強度を綿密にシミュレーションしながら設計する必要があった」。計画に参加した建設コンサルティング会社、日本工営(東京・千代田)エネルギー事業統括本部の小長谷修氏はこう話す。

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