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2019年10月に関東圏を襲った台風19号で浸水した川崎市内の住宅地の様子

 甚大な被害が頻発するようになった風水害。中でも2019年10月に関東圏を襲い、川崎市・武蔵小杉駅周辺のタワーマンションに浸水被害をもたらした台風19号はまだ記憶に新しいだろう。その余波はまだ残っている。

 被災した川崎市の市民が市を相手取り、損害賠償を求める集団訴訟を準備している。台風19号多摩川水害訴訟弁護団長を務める川崎合同法律事務所の西村隆雄弁護士は、「多摩川に沿った地域の浸水被害は、川崎市が排水樋(ひ)管ゲート(水門)を適切に閉じて川からの逆流を防がなかったために発生した人災だ」と指摘する。

 排水樋管とは、雨水などを集めて河川に排出するためのもので、その水門の開閉は市が管理している。台風襲来時、その管理が不適切だったため、豪雨によって増水した多摩川の水が排水樋管を逆流し、市内のあちこちでマンホールや側溝から泥水が噴出する内水氾濫を引き起こしたと主張しているわけだ。

 被災者の1人で、「台風19号多摩川水害を考える川崎の会」事務局の船津了さん(68)は、自宅(戸建て)が床上約20cmまで浸水した。罹災(りさい)証明の発行件数に基づく川崎市の被害は床上浸水1258棟、床下浸水411棟に及ぶ。この災害による死亡は1人、家屋の全壊が33棟、半壊は948棟に上った。武蔵小杉駅周辺に林立するタワーマンションの一部では電気設備が水没して建物が機能不全に陥るなど、全国的に注目を集めることとなった。