「空の産業革命」の担い手となるドローン。政府は「有人地帯における目視外飛行」を2022年度に実現する目標を掲げ、制度整備や実証実験に力を入れる。その一方で、配送にドローンを活用する取り組みからは、安全性や収益性の確保といった以前からの課題になかなか答えが見つからない現状も浮かび上がってきた。

「福祉の一環として考えている。収益性は二の次だ」。2020年8月に国内の自治体として初めてドローン配送事業を開始した長野県伊那市。企画部企画政策課新産業技術推進係の安江輝係長は、収益性を確保する難しさを口にする。
伊那市のサービスは、ケーブルテレビのリモコンで食料品などの日用品を注文すると、自律飛行するドローンが地域の配送拠点から最寄りの公民館まで当日中に配送するもの。通信大手のKDDIや地場のケーブルテレビ会社が協力しており、代金はケーブルテレビの利用料と一緒に口座振替で支払う。
買い物支援のボランティアが不足し、過疎化で中山間地域のバスも減った伊那市では、市民から買い物弱者へのサポートを求める声が上がっていた。当初は自律運転バスの導入を検討し、実証実験も進めた。「自律運転バスの方が配送できる物量は多いが、道路には他の車両が走っているため事故のリスクがあった。ドローンは空を移動するため衝突リスクは低いと判断した」と安江氏は話す。
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