「工作物」と聞くとブロック塀などを想像しがちですが、1983年の浦和地裁(現さいたま地裁)83年6月22日判決で「盛り土も民法717条が示す工作物にあたる」との判断が出ています。

 報道によると、熱海市土砂崩れ付近の造成地について、現在の所有者は「盛り土があることを知らず2011年にこの土地を購入した。その後も、盛り土をしたことはない」と話しているそうですが、民法717条の土地工作物責任は「現在の土地所有者が自ら設置した土地工作物でなくとも、所有地の土地工作物の設置または保存に瑕疵があれば、無過失でも賠償責任を負う」旨の定めがなされています。

 民法717条土地工作物責任の制度の趣旨は、危険な施設など、社会に対して危険を自らつくり出しているものは、工作物の瑕疵から生じる損害に対して常に(無過失でも)賠償責任を負わなければならないという考え方です。土地の所有者にとっては非常に重い責任です。

阪神大震災でも問われた所有者の責任

前の所有者から詳しく事情を聞かずに土地を買った現在の所有者の責任が一番重くなるのですか。

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