6月29日にスルガ銀行が開催した株主総会には、同行の不正融資の被害者も株主として約100人が参加した。スルガ銀側は不正融資の被害者への対応に加え、提携解消がささやかれるノジマとの関係にも触れなかった。警備員がひな壇を守る異様な光景。一方的に打ち切られた総会は経営再建の先行きに不安を抱かせるものだった。

 壇上の銀行側と株主席の間に警備員が“壁”をつくり、遮った。6月29日に静岡県沼津市でスルガ銀行(同市)が開いた定時株主総会(議長:嵯峨行介社長)は物々しい雰囲気となった。

警備員を配置する物々しい雰囲気だったという(スルガ銀行の株主提供)
警備員を配置する物々しい雰囲気だったという(スルガ銀行の株主提供)

 参加した株主248人のうち約100人が同行の不正融資で被害を受けた人たち。過去にも単元株を取得した被害者が株主総会で壇上に詰め寄る場面があったことから、再発を警戒したスルガ銀の対策とみられる。株主の怒号や拍手が飛び交う中、嵯峨社長は淡々と議事を進めたという。参加者は「有国三知男前社長はまだ自分の言葉で質問に答えようとして人間味があった。嵯峨社長の反応はまるでロボットのようだった」と話す。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1115文字 / 全文1554文字

日経ビジネス電子版有料会員なら

人気コラム、特集…すべての記事が読み放題

ウェビナー日経ビジネスLIVEにも参加し放題

バックナンバー11年分が読み放題

この記事はシリーズ「江村英哲の「ひと×街×テック」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。