そして今回、主要因はコロナ禍にある。だが、事情はそれほど単純ではない。木材専門商社の丸紅木材(大阪市)の清水文孝社長は、「今回のウッドショックは原因が複雑だ。事態は長期化するとみており、年内は価格が落ち着かないだろう」と予見する。

 第3次ウッドショックの根底には米国における住宅着工件数の堅調な伸びがある。15年ごろからミレニアル世代を中心に郊外型住宅の購入が増えていた。コロナ対策として米政策金利を実質ゼロに誘導する政策が住宅ローン金利を引き下げたことで、着工件数の増加に拍車がかかった。テレワークが浸透したことも郊外の住宅需要を刺激した。しかし、盛り上がったニーズに応える態勢にはほころびが生じていた。

 その1つが19年に北米で発生した木材業界のストライキだ。生産数が減少したことで製材工場が多く閉鎖したため今日の需要増に対応できていない。また、コロナ禍による荷動きの増減で輸送用コンテナの数が不足していることも一因だ。清水社長は「中東などでも木材需要が旺盛になっていることから、品質が厳しいうえに低価格な日本に輸出する魅力がなくなっている。筋交いなどに使う羽柄(はがら)材の1カ月のコンテナ数は昨年の3分の1以下になっている」と説明する。

 事業者の視線は当然、国産材に向かう。林野庁によると19年の木材自給率は37.8%。11年から9年連続で上昇しており改善傾向にある。しかし、国産材はバイオマス発電やパルプでの需要も多いため、住宅建材として使う木材は輸入に頼らざるを得ない。日本は林業従事者の高齢化が進行しているなどの課題を抱えており、急な増産に対応できていない。コロナ禍を克服した中国や米国が景気浮揚策としてインフラ整備を打ち出せば、国際的な木材価格が一段とつり上がる可能性もある。

 清水社長は「デフレで木材価格を抑えてきた日本市場は世界から見切りを付けられてしまうかもしれない」と警戒している。

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