世界で木材需給が逼迫する「ウッドショック」が発生し、有数の木材輸入国である日本にも影響が及んでいる。日本の木材自給率は上昇傾向にあるものの依然4割を切っているため、住宅建材で輸入木材が占める割合は大きい。国産材の供給も限られることから、住宅業界では需給安定の見通しの暗さを悲観する声が上がっている。
4月上旬、首都圏で住宅を建築中の男性のもとに施工事業者から1通のメールが届いた。「構造材の高騰で木材問屋からの価格や納期に大きな変動があり、工事遅延のお願いをする場合がある」という内容で、この事業者に木材を納める問屋は「海外で木材の需要が旺盛なため仕入れ価格が過去にないスピードで上昇している。価格に転嫁せざるを得ない」と説明したという。住宅業界では引っ越しを準備していた購入者が施工者に宿泊先の手配を要求する事例も聞かれ、しばらく混乱が続きそうだ。

実際、木材価格は「輸入材」「国産材」ともに急騰している。日刊木材新聞によると、2020年春ごろの木材価格は底値に近い水準で推移していた。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた景気低迷で木材需要が限られていたのだ。しかし、21年1月ごろからじわりと価格上昇の兆しが見え始めた。住宅の梁(はり)用部材として使用する欧州輸入材「レッドウッド集成平角」は、20年8月から12月まで1立方メートルあたり5万2000円程度で推移していたが、21年4月には6万5000円と昨年に比べ1.25倍に上昇した。
ツーバイフォー(枠組壁)工法に活用し、ホームセンターでも販売している「ツーバイフォー材」のカナダ産「SPF(トウヒ・マツ・モミ類)2×4」の急騰は顕著だ。20年は1立方メートルあたり5万円で推移していたが、21年4月には8万1000円の高値を付けた。昨年比1.62倍の価格だ。欧米に限らずロシア材も含めて輸入材は全般的に値上がり傾向にあるため、入手が非常に困難な状況になっている。問屋は代替用に国産材の仕入れを急いでおり、こうした需要の急増から「杉KD(人工乾燥)柱角」の価格がこの半年で1.4倍に上がった。
第3次ウッドショックは長期化の様相

住宅や木材の関係者は今回の価格上昇を“第3次ウッドショック”と呼ぶ。1990年代初頭、世界的な天然林保護運動をきっかけとして木材需給のひっ迫が発生したのが第1次。第2次は2006年にインドネシアの伐採制限が引き金となっている。
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