建設会社が選ぶべきは、「作業員の安全」か「プロジェクトの遂行」か――

 ゼネコン大手の清水建設は4月13日、東京都内の建設現場で勤務していた3人が新型コロナウイルスに感染し、うち1人が死亡後に「陽性」と判明したと発表した。これを受けて「緊急事態宣言」の対象地域に所在する約500の作業所を原則閉鎖する方針を示した。

清水建設は、緊急事態宣言の対象地域にある現場作業所を原則閉鎖する方針を明らかにした(同社ホームページ)

 現場における新型コロナウイルスの感染防止に、建設各社が頭を悩ませている。オフィス業務はリモートで対応できる一方、現場作業は職人なしに成立しないからだ。工事を中断すれば感染拡大は抑えられるものの、工事遅延によって発注者に不利益が生じる。後手に回る現場の防疫だが、清水建設が下した決断は大きな波紋を呼びそうだ。

 清水建設によると感染者は同じ作業所で働いていた3人で、40代の男性と女性、50代の男性。50代男性は体調不良で自宅待機をしていたが、容体が急変して亡くなった。

 同社は作業所の閉所手続きについて、「13日から発注者と工事を一時的に中止する協議を始めた」(コーポレート・コミュニケーション部)。しかし、発注者がどこまで要請に応じるかは未知数だ。プロジェクト延期で発生する損害を誰が受け持つか、協議の難航が予想されるからだ。

 一般的に建設工事の請負契約は、その履行が中断などで遅れれば、契約に従って発注者は受注者に遅延損害金を請求できる。ただし、天災などによる工事中断は、受注者の責めに帰することができない事由と判断される場合が多い。清水建設は今回のコロナ禍が天災などに類する事由だとして発注者と交渉する方針だが、協議の結果、「そのまま継続」となる案件が出てくる可能性もある。

西松建設は大型物流センターの施工を継続

 実際、協議を経て工事が続行となったケースもある。4月8日に従業員の感染を明らかにした西松建設は、同日、基本方針として施工中の工事の一時中止を打ち出したが、大和ハウス工業が千葉県流山市で計画する大型物流センターの施工は継続することを決めている。両社は現場での感染防止策について協議をしたうえで、「物流センターは巨大建築物のため、現場の作業員が『密閉・密集・密接』の3密になりにくい」として工事継続を判断したという。

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