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 新型コロナウイルスの感染拡大は不動産市場に大きな影響を及ぼしそうだ。12年前のリーマン・ショックでもマンション価格は暴落し、モリモトやダイナシティなど勢いのあった会社が次々と倒産していった。そんな中をほぼ無傷で乗り切ったのが、中古マンション販売大手のスター・マイカ。創業者の水永政志社長はゴールドマン・サックス証券などの勤務を経て、2000年にREIT運用会社のピーアイテクノロジー(現いちご)を設立した強者だ。販売価格が2000万~4000万円というボリュームゾーンに絞り込んで堅実経営を志す一方、リーマン後には投資物件を手掛け、19年までにバブル懸念を感じて売り抜けた。そんな水永氏は、不動産市場の変化をどう捉えているのか。

水永政志[みずなが・まさし]氏  1964年生まれ。東京大学農学部を卒業し、89年三井物産に入社。95年米UCLA経営大学院に留学してMBA取得、ボストン・コンサルティング・グループ入社。96年からはゴールドマン・サックス証券で先端金融商品の開発や資産運用を担った。2000年に日本初のREIT運用会社、ピーアイテクノロジー(現いちご)を設立したが、直後にITバブル崩壊に遭って売却。いったんGSに戻った後、02年にスター・マイカを設立し、リノベーションマンション市場のリーディングカンパニーに育てた。

昨年までに、リーマン後に取得した投資物件を売却していたそうですね。「千里眼」は有名ですが、コロナの不動産市場へのインパクトをどうみますか。

水永政志スター・マイカ社長(以下、水永氏):私は先を見通せるわけではないので、あくまでも私見になりますが。今回のコロナの衝撃がリーマンのマグニチュードを超えるというのは、世の中のコンセンサスが取れていることでしょう。

 リーマンは金融機能不全、今回は外出自粛に伴う消費の消滅と一部の工場や人が集まる場所の営業自粛によるサプライサイドのショックからスタートしていますが、金融的な背景は似ています。十分な金融緩和があった後で、いつでも破裂しそうなタイミングだった。そこにより大きなマグニチュードが来たのですから、不動産に及ぼすインパクトはさらに大きくなるのでしょう。

 リーマン時はREIT(不動産投資信託証券)インデックスが4分の1になりました。今回もそういった規模の下落が起こり得ることは想像できます。ただ、金融由来ではないので、大きく下がるものと小さく下がるものに分かれるでしょう。

 最も打撃を受けるのは、超豪華マンションやリゾート物件といったラグジュアリーの領域。その一方で、実際に住居として使う「実需」までが投げ売りされることは考えにくい。在宅勤務が普及したことで「住まい」への需要は高まりますし、住宅ローン債権がおかしくなっているわけでもありません。

 大ざっぱに言って、価格帯の高いものほど、下げ幅は大きい。商業、ホテルといった運用型アセットはマンション以上に厳しいでしょう。ホテルは稼働率が10%まで落ち込んでおり、商業施設も人が来ないことで資産の運用収益がなくなる。オフィスも同様で、空室率は高まりそうです。

全体が下落する中でも、強弱がかなりつくということですね。住宅価格が気になりますが、それぞれの価格帯で、どれくらいの下落が考えられますか。

水永氏:リーマンのときを振り返ってみましょう。直前の都内のマンションは最高6億円ほどでしたが、これがリーマン後には2億円を切りました。3分の1です。コロナショックの手前では6億円を超えて取引されていました。前回より山が高いということは、前回以上に落ちても不思議ではありません。タワーマンションがバブルであったことは間違いありません。

 一方、「コモディティー」とされる3000万円前後の住宅の昇降幅は1割くらい、5000万円のもので2~3割です。これらの領域も落ちるでしょうが、下落幅は知れています。