「茨城ロボッツ」を運営する茨城ロボッツ・スポーツエンターテインメント社長、山谷拓志氏
「茨城ロボッツ」を運営する茨城ロボッツ・スポーツエンターテインメント社長、山谷拓志氏

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、2019~20年シーズンの残り全試合の中止が決まっている国内プロバスケットボールの「Bリーグ」。東京五輪・パラリンピックの延期もあり意気消沈のスポーツ界だが、「茨城ロボッツ」を運営する茨城ロボッツ・スポーツエンターテインメント社長、山谷拓志氏はその先を見据えている。日本リーグ時代に栃木を優勝に導き、日本バスケットボールリーグ専務理事も務めた知将。3度目の挑戦は「地方創生」だという。

 「ピンチはチャンス。様々な活動が制限されて先が見えない状況だが、そのトンネルを抜けた先に向け、準備を進めていく」。3月末のシーズン終了決定を受け、山谷氏は気を引き締め直した。Bリーグ2部で戦った今季の最終成績は26勝21敗。目先の1部昇格の可能性は不完全燃焼のままに消滅したが、山谷氏の目標は、チーム成績だけにとどまらない。

全国唯一、民間テレビ局がない難しさ

 3月30日、さっそく動きがあった。グロービス経営大学院学長の堀義人氏が筆頭株主の水戸茨城イニシアティブ(東京・千代田)が、地元ラジオ局の茨城放送の株式を追加取得し、持ち株比率を約46%に高めたのだ。グロービスは茨城ロボッツの85%の株式を持つオーナー。茨城ロボッツも茨城放送株を10%保有しており、両者合わせて過半数を獲得した。

 なぜ、スポーツチームがメディアなのか。実質的に動いたのは堀氏だが、戦略面では、山谷氏の知見によるところも大きい。14年、リーグの専務理事を辞任して経営破綻したチーム(当時はつくば市が本拠地)を引き受ける形で社長に就任した山谷氏がまず感じたのは、全国で唯一県域の民間テレビ局がない茨城県での、運営の難しさだった。

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