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 安倍晋三首相による2月27日の休校要請以降、全国の小中学校と高校、特別支援学校の多くで休校措置が取られた。緊急事態宣言が出された地域を中心に休校延長に踏み切る自治体も多く、当面はこの状況が続きそうだ。

 新型コロナウイルスで露呈したのは、日本の教育現場でITがほとんど活用されていない実態だ。ITを活用して遠隔で授業を継続しようとする学校もあるがごく一部にとどまる(参照:「学校の役割変わる」 オンライン授業を始めた静岡聖光学院の挑戦)。多くの学校ではプリント配布などで急場をしのいでおり、実質「教育が止まった」状態だ。

 こうした状況下で学校は何をすべきなのか。また、新型コロナウイルスの流行を契機に日本の教育現場は変わり得るのか。国際大学の豊福晋平准教授に聞いた。

(写真:PIXTA)
国際大学の豊福晋平准教授。専門は学校教育心理学・教育工学・学校経営。教育と情報化のテーマに長年取り組む

新型コロナウイルスの影響が長期化し、当面は通常通りの授業を続けるのが難しそうです。

豊福晋平准教授(以下、豊福氏):休校は当面続きそうで、へたをすると半年や1年くらいかかるかもしれません。政府は計画を前倒しして、子供1人に1台の端末を配布すると言っていますが、3カ月や半年はかかるでしょう。でも今の子供にとって大事なのは、この数週間をどう乗り切るかです。だったらお金をかけなくてもできる方法を考える必要があります。

 具体的に言えば、グーグルのIDやマイクロソフトのオフィス365のIDを配布することです。そうして、スマホでもゲーム機でもいいからネットにつながる状態にする。勉強のやり取りはできないかもしれないけど、(教師や生徒同士が)「元気?」とか「何かあったら教えてね」とやり取りすることはできます。

 朝の5分だけビデオチャットすることも可能です。まずはこの状態をつくっておくことが大事。登校日に(お知らせや課題などの)紙を配っている学校もありますが、それで半年乗り切れますか。オンラインで付かず離れずの状態をつくらないと乗り切れません。

 スマホなどのモバイル端末は高校生の多くが持っています。小学生は4割くらいですが、保護者が20~40歳代であれば96%程度普及しています。だから、残りの数%をなんとかすればスマホレベルなら今すぐできる。

こうした対策で乗り切るしかないのも、日本の教育現場のIT化が遅れているからです。黒板を使った授業や、紙でのプリント配布など、教育現場は長らくアナログな状態でした。そもそもなぜ日本の学校ではIT化が進んでいないのでしょうか。