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 新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるため、政府は7日、緊急事態宣言を発令した。それ以前から広がっている外出自粛により、最も苦境にあえいでいる業界の一つが外食だ。特に小規模の飲食店は廃業や閉店を回避できるか、ギリギリの戦いを強いられている。

 多くの飲食店が困難に直面しているからこそ、「いつも通っているあの飲食店に行きたいのに」という人も多いだろう。そんな消費者の思いに応えるサービスが広がりを見せている。

 「飲食チケットを買って、未来のお客さんになろう!」。グルメアプリを運営するキッチハイク(東京・台東)は3月1日、「#勝手に応援プロジェクト」と題して、新型コロナに苦しむ外食店を支援する取り組みを始めた。

 その特徴は、常連客が主導する点だ。まず客が応援したい外食店を推薦し、キッチハイクが外食店に企画への参加を打診。参加店舗はウェブサイトに掲載され、客は新型コロナの流行が収まった頃に来店して食事ができる3000円前後のチケットを購入する。そのお金は、来店者減で資金繰りに苦しむ外食店に提供される。

 キッチハイクの山本雅也共同代表が「苦しくても外食店は『来店して』と言いづらい」と思いついた。推薦者がSNSで拡散し、開始1カ月でチケットは約70店舗について450枚ほどさばけた。

 外食ベンチャーのトレタ(東京・品川)の調査によると、新型コロナの流行で外食店の来店客数が落ち込む中、3回以上来店したことがある常連層は粘り強く店に通っている。危機を迎え、外食店がいかに固定客とつながってきたかが如実に表れている。

 クラウドファンディングサイトを運営するマクアケも「応援」をキーワードに外食店と客をつなぐ。会員制レストラン「treis(トレイス)」は4月の開業に向けて、マクアケのウェブサイトで限定会員を募集した。シェフや器など店のこだわりを詳細に書き込んだところ、3月末までに約380人から約2000万円を集めることができた。

 店のこだわりに共感し、店舗を応援して育てたいというユーザーの心をつかんだ形だ。トレイスの運営会社の前田和彦代表は、「うちの売りはシェフ、器、空間。料理だけでなく、お客さんは店とのつながりを求めている」と語る。

 商品やサービスを単に消費するだけでなく、深く理解し、愛してくれる顧客とのつながりを大事にしたい。そんな動きは物販にも広がる。