2010年代前半の業績急落から事業ポートフォリオの転換で復活したAGC。「AGC、『両利き経営』の真骨頂 成熟事業も深掘りで勝ち尽くす」でも見たように、既存事業を再活性化しながら、新規事業を育てる独自の戦略を展開し、高収益会社となった。宮地伸二・副社長CFO(最高財務責任者)にその取り組みを聞いた。
■本シリーズ連載ラインアップ
・さらば「現金貯め込み」経営 昭和電工はなぜ日立化成を買ったのか
・祖業も売却するオリンパス ガバナンス改革が支える本業集中特化
・AGC、「両利き経営」の真骨頂 成熟事業も深掘りで勝ち尽くす
・ニチガス、DXが生んだ「蛍」 保安・配送の常識を変える
・「小が大を飲む」巨額買収の勝算は 昭和電工・高橋社長に聞く
・カメラも祖業も切り離し オリンパス竹内社長が語る「選択と集中」
・両利きの経営は「抜けのないマネジメントで」 AGC宮地副社長(今回)

この10年余りでAGCの事業構造は大きく変わりました。営業利益で見ると、2010年12月期には当時最高の約2292億円に達し、その8割は液晶ディスプレー用ガラスなど電子事業が担っていました。ところが、液晶テレビなどの急激な価格下落と共にディスプレー用ガラスも値段が急落し、14年12月期には営業利益は3分の1以下の約621億円に落ちました。そこから事業のポートフォリオ転換を進め、21年12月期には約2062億円に復活。その約7割を化学品で稼ぎ出すようになりました。業績急落時に、まずどうしようと考えたのですか。
宮地伸二・副社長CFO(以下・宮地氏):まず、2000年代に入った辺りの頃のことからお話ししましょう。
当時は(デジタル家電が大きく伸びて)ディスプレー用ガラスで稼いでおり、ほとんど「一本足打法」と呼ばれてました。ところが09、10年ごろから価格下落が急激に起きて、14年まで4期連続の減益になったのです。14年の営業利益は最近のボトムですね。株式市場では、このままでは厳しいのではないかと言われた時期でした。
この記事は会員登録で続きをご覧いただけます
残り2502文字 / 全文3352文字
-
【春割】日経電子版セット2カ月無料
今すぐ会員登録(無料・有料) -
会員の方はこちら
ログイン
【春割/2カ月無料】お申し込みで
人気コラム、特集記事…すべて読み放題
ウェビナー・音声コンテンツを視聴可能
バックナンバー11年分が読み放題
この記事はシリーズ「田村賢司の経済万華鏡」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?