事業ポートフォリオ再編で難しいのは、既存事業と新規事業との間でヒト・モノ・カネの投資のバランスをどう取るか。シリーズ3回目は、米スタンフォード大学経営大学院のチャールズ・A・オライリー教授が提唱する「両利きの経営」を実践するAGCを取り上げる。
■本シリーズ連載ラインアップ
・さらば「現金貯め込み」経営 昭和電工はなぜ日立化成を買ったのか
・祖業も売却するオリンパス ガバナンス改革が支える本業集中特化
・AGC、「両利き経営」の真骨頂 成熟事業も深掘りで勝ち尽くす (今回)
これまで昭和電工やオリンパスのケースで見てきたように、思い切った事業再編に乗り出す日本企業も徐々に増えている。
ただ事業ポートフォリオの再編で難しいのは、既存事業と新規事業との間でヒト・モノ・カネの投資のバランスをどう取るかだろう。既存事業の深化と新規事業の探索を並行して進める、米スタンフォード大学経営大学院のチャールズ・A・オライリー教授が提唱する「両利きの経営」の難しさだ。
AGCはその難題に2015年ごろから取り組んできた。そこには前史がある。
00年代に入り、デジタル家電の時代を迎えてAGC(当時は旭硝子、18年に社名変更)は利益の多くを液晶ディスプレー用ガラスなど電子事業が稼ぎ出すようになった。ピークの10年12月期には約2292億円の営業利益の8割以上が電子事業になったが、状況は一変した。
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