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新型コロナウイルスの感染拡大をいち早く抑え込んだとされた韓国に第2波の影が差してきた。個人の移動や購買履歴などの情報まで利用する徹底管理で感染を抑制してきたが、それでも再拡大の恐れは出てくる。ようやく緊急事態宣言を解除したばかりの日本に、韓国の今から読み取れるものがあるのか。日本の現状は「何となくうまくいった」だけに近い。もう一度、論理性と実行力を合わせた対策づくりが必要だ。

 「やはりまだ収束していないよ」

 6月1日、韓国ソウル市に住む自営業の知人は仕方ないというような表情を浮かべてこう話した。

 徹底した検査と追跡、隔離で新型コロナウイルスの感染拡大を抑え込み、その対応ぶりが世界で注目を集めた韓国で再び、感染が広がり始めている。5月6日に行動制限の要請を大幅に緩和してまもなく、ソウル市内のクラブで集団感染が発生し、5月末にはソウル郊外の物流センターで従業員ら82人の感染が確認された。

 日本は政府の緊急事態宣言が5月25日に約1カ月半ぶりに解除されたものの、第2波への不安が残る。韓国の“反転”は人ごとではない。その変化のどこに注目し、分析する必要があるのか。

感染大幅増で検査態勢も急拡大した

 韓国モデルとも称された新型コロナ対策の1つは徹底した検査だ。

 今年1月に最初の感染者が確認されると、当初は、病院などでの感染検査を中心に実施した。発熱などの症状があるが、直近の海外渡航歴や、大規模感染が発生した大邱、慶尚北道への訪問歴がない場合は国民安心病院、発熱があり、かつ海外渡航歴や大邱、慶尚北道への訪問歴がある場合は選別診療所と呼ばれる施設で検査を集中させた。

 国民安心病院は、患者の来院から検査、入院などを一般患者と完全に分けた施設で、選別診療所は新型コロナにより特化した施設だという。既存の病院を指定して態勢を整え、3月末時点でそれぞれ約340カ所、約610カ所を設けた。

 それでも感染が急拡大したことで検査態勢を一気に広げた。よく知られるように、個人が自動車に乗ったまま検査を受けるドライブスルー型がその1つ。そして、個人が1人ずつ歩いて透明なボックスに入り、医師が外側から検査するウオーキングスルー型と呼ばれる検査。2つの「簡易」検査を大展開したのである。「短時間で効率的に大量の検査を実施する」(金明中・ニッセイ基礎研究所准主任研究員)素早さが、その後の評価の元になった。

韓国はドライブスルー型でPCR検査を急拡大した(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

 もう1つは、徹底したデジタル化だ。