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新型コロナウイルスの感染拡大が原油市場も直撃した。米ニューヨークのWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエイト)原油先物市場で20日、先物価格が史上初のマイナスとなった。感染拡大で何が起きたのか、影響はどのように広がるのか。原油など商品市場に詳しい芥田知至・三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員に、空前の出来事の背景と見通しを聞いた。

4月20日のニューヨーク原油先物市場で、史上初めて原油先物価格がマイナスになりました。新型コロナの感染拡大で需要が激減した結果と言われますが。

芥田知至(あくた・ともみち)氏
三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員。山一証券経済研究所を経て、1998年2月、三和総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング)入社。現在、調査部で商品市況等を担当。著書に『エネルギーを読む』(日本経済新聞出版社)、『図解 国際商品市場がわかる本』(東洋経済新報社)など。

芥田知至・三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員(以下、芥田氏):やはり新型コロナの影響が極めて大きいです。感染の拡大で世界の原油需要が落ち込み、在庫が急増していました。米国では、3月10あたりから各地で都市封鎖(ロックダウン)、外出制限が始まり、半分以上の州に広がりました。車の利用は減り、航空機の国内便も半減したといわれます。これによって原油需要は大きく落ち込み、在庫の山が出来上がったのです。

 米南部のオクラハマ州クッシングは米国産原油の現物の受け渡し場所ですが、需要急減で周辺の貯蔵タンクが満杯になっています。原油先物を買った投資家は、現物をそのまま引き取るか売り戻すかしかありませんが、現物を引き取っても貯蔵タンクは一杯ですから保管コストが膨らむ。一方で現物価格が下がっていくと、そのままでは評価損まで発生することになる。だから反対売買をして売り戻すわけです。先物価格がマイナスにまで落ちたのは、損切りを強いられたということですね。

武漢封鎖で既に原油価格は下落

具体的にどの程度需要は落ちたのですか。

芥田氏:世界需要は日量2000万から3000万バレル落ち込みました。1月下旬に中国・武漢で都市封鎖が始まると、需要の落ち込みを読んで原油先物価格は下がり始めました。さらにイタリア、スペインで感染者が激増し、米国では3月10日にカリフォルニア、その後ニューヨーク市で都市封鎖が始まると需要はもっと落ちるとみられて価格は下げていったのです。まさにコロナ禍ですね。