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総選挙(4月15日投開票)で大勝した韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領。新型コロナウイルスの感染拡大への対応で世界に評価され、それが国民のナショナリズムに火をつけて勝利をもたらしたようだ。文大統領はなぜ素早く的確な手を打てたのか。そして今後の対北朝鮮政策、対日本政策はどうなるのか。コロナ対応と文政権大勝の背景を、韓国政治が専門の木村幹・神戸大学大学院教授に聞いた。

韓国の総選挙(4月15日投開票)で文大統領の与党で進歩派と呼ばれる革新系が180議席(定数300)を獲得して圧勝しました。一時は爆発的に拡大した新型コロナウイルスの感染を抑え込んだことが評価されたようですね。

【選挙結果は、革新系である与党の「共に民主党」が180議席(同系列の比例専門政党を含む)、保守系の野党「未来統合党」が103議席(同)。選挙前はそれぞれ128、112議席だった】

木村幹(きむら・かん)氏
1966年生まれ。93年、京都大学大学院博士後期課程中退。97年、神戸大学大学院国際協力研究科助教授。2005年、同研究科教授。17年、神戸大学アジア総合学術センター長兼務。韓国政治の専門家として知られる。

木村幹・神戸大学大学院教授(以下、木村氏):それがすべてではないですが、国民に評価されたのは確かですね。2月末には毎日数百人の感染者が出る状態だったのを、選挙前には20~30人台にまで抑え込みました。が、それ以上に大きかったのは、その対応が国際的に認められたことです。

 民間病院がPCR検査をできるようにしたり、ドライブスルーでの検査など、医療従事者の感染を防ぎながら大量に検査できる方法を生み出したりして感染者の早期発見・治療につなげた。あるいはプライバシーの問題はあったけれども、感染者がどう動いていたかという動線を公開し、陰性であっても接触した人を14日間自宅隔離させるという思い切ったこともしました。それでいて、都市封鎖(ロックダウン)や外出制限などの強い手段は取っていません。「韓国方式」といえそうなこれらの拡大防止策が世界で認められたことが、韓国国民のナショナリズムに火をつけたのだと思います。