欧米はウクライナに侵攻したロシアへの経済制裁を一段と強化しようとしている。ロシア経済を支える原油や石油製品の需要はこれまでの制裁で既に侵攻前から3割減ったようだ。ロシア経済の最大の柱である原油・ガス産業はどうなるのか。その輸出動向や原油価格高騰の背景、将来の生産量予測などを石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の原田大輔・調査課長に聞いた。

原田大輔(はらだ・だいすけ)氏
原田大輔(はらだ・だいすけ)氏
石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)調査課長。グープキン記念ロシア国立石油ガス大学経済経営学修士課程修了。2006年から東シベリア・北極圏の石油・ガス開発プロジェクトの立ち上げや日ロ協力案件に携わり、情報分析も担当。東京都出身。

西側はロシアへの追加制裁に動いています。欧州連合(EU)の欧州委員会は、ロシア産石炭の輸入停止を含む制裁案を公表し、いずれは原油・ガスなどの禁輸に踏み切る考えものぞかせています。足元でロシア産原油の取引はどう動いていますか。

原田大輔JOGMEC調査課長(以下、原田氏):ロシア政府の公式情報は今、アクセスが難しくなっていますが、原油トレーダーなど関係者の情報を総合すると、輸出量の約30%に買い手がつかなくなっているようです。

 ウクライナ侵攻前、ロシアの関連輸出量は、原油と石油製品を合わせて日量で約700万バレルありました。その3割が売れなくなっているというわけです。

メジャーが買い控え、中国は既定の買い増し

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