1月12日午後4時、一部の株式市場関係者の注目を集めた企業が四半期決算を発表した。産業用ロボットなどの大手、安川電機である。同社に市場の関心が集まったのは、大手製造業の中では数少ない2月期決算で、足元から来期にかけての企業の業績動向を占うカギになるとみられたからだ。

 「2020年10月9日発表の21年2月通期見通しを上方修正する」。同社が公表したのは売上高で前回見通しを約141億円、営業利益も49億円それぞれ上回る売上高・3809億円、営業利益・272億円への修正だった。これを受けて同社の株価は13、14日で計410円(7.4%)も急騰した。

実はほとんどの業種で業績上方修正

 今、景気の底流はどう動いているのか。しばしばいわれるのは、新型コロナウイルスの感染拡大第3波に対する政府の緊急事態宣言で日本経済にかなりの下押し圧力が働くことだ。

 政府は1月7日に首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)に緊急事態宣言発出を、13日には栃木県、岐阜県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、福岡県への拡大を決めた。計11都府県を対象に飲食店やバー・カラオケなどに午後8時までの時短営業を要請。スーパーやコンビニなどを除く商業施設も同時間までの時短を呼びかけ、イベントは収容人員を5000人までか会場の定員の50%までに制限した。

消費はコロナ以前の水準にはまだ戻っていない
第2次安倍内閣以降の消費総合指数の推移
<span class="fontSizeM">消費はコロナ以前の水準にはまだ戻っていない</span><br />第2次安倍内閣以降の消費総合指数の推移
注:消費総合指数は2011年を100としている
出所:内閣府「消費総合指数」、クレディ・アグリコル証券の資料を基に日経ビジネス作成

 大和総研の試算では11都府県への拡大で実質GDP(国内総生産)の減少額は1.3兆円。21年1~3月期の実質GDPは前期比年率で2.8%のマイナス成長となる。21年年間では、緊急事態宣言発出前、2.3%成長と予測していたが、1.9%程度に落ちるという。

 同様にUBS証券も「実質GDPは1.68兆円の減少となる」(青木大樹・日本経済担当チーフエコノミスト)とみる。しかも、これらはいずれも緊急事態宣言が1カ月で終わる場合の試算。新型コロナの感染拡大が収まらず宣言が延長されれば、落ち込みはさらに拡大することになる。

 ここはその通りだろうが、つぶさに見れば別の姿も浮かぶ。

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