2023年を前に、三菱UFJフィナンシャル・グループの亀沢宏規社長が日経ビジネスのインタビューに応じた。長引く低金利の環境でも業績を復調させつつある銀行を中心に、新たな銀行像を模索する姿勢を見せた。

亀沢 宏規(かめざわ・ひろのり)氏
亀沢 宏規(かめざわ・ひろのり)氏
1986年、東京大学大学院を修了し三菱銀行(現三菱UFJ銀行)に入行。投融資企画部長、経営企画部長、専務、副社長などを経て、2020年4月から現職。東大数学科出身でメガバンクグループ初の理系トップとなった。宮崎県出身。61歳。(写真:吉成大輔)

2022年の経済をどう総括しますか。また23年の展望も併せてお聞かせください。

三菱UFJフィナンシャル・グループの亀沢宏規社長(以下、亀沢氏):変動が多かったという点で、極めて歴史的な1年だったと思います。新型コロナウイルスの感染拡大やロシアのウクライナ侵攻、エネルギーショック、サプライチェーンのインフレがあり、欧米では金利もこれだけ動いた。変化が多すぎてネーミングが難しいほどです。

 23年のポイントは「世界がどれほど落ち着くか」です。ウクライナ情勢を含む地政学の部分は長引くと思いますが、新型コロナ対応は「ウィズコロナ」に入りつつあり、インフレも落ち着いてくるでしょう。米国がインフレをコントロールできてくると、金利も安定してきますから。

 日本はコロナ禍からの持ち直しで消費が増えてくるし、インバウンドと設備投資も増えてきて、経済は緩やかに成長すると見ています。デジタル化やグリーントランスフォーメーション(GX)、働き方改革のようなコロナ禍前からの大きなトレンドは変わらず、我々だけでなく日本全体で取り組んでいく年になると考えています。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1980文字 / 全文2559文字

【春割/2カ月無料】お申し込みで

人気コラム、特集記事…すべて読み放題

ウェビナー・音声コンテンツを視聴可能

バックナンバー11年分が読み放題

この記事はシリーズ「諸行無常の金融まんだら」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。