ついに日銀が政策修正に動いた。2022年12月20日正午過ぎ、日銀は長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)政策で抑え込んでいる長期金利の変動幅を拡大することを発表( プラスマイナス0.25%から同0.5%)。事前に関係者が想定していない「サプライズ」だ。株式市場・外国為替市場・国債市場という主要マーケットは動揺した。一体何が起きたのか。

(写真=つのだよしお/アフロ)
(写真=つのだよしお/アフロ)

 日銀は19~20日で金融政策決定会合を開催していた。会合での決定内容の公表を受け、外為市場では円高が進んだ。午前中は1ドル=137円の場面もあったが、発表直後に133円まで急伸した。株価は下落。現物市場が昼休み中の発表で、取引が続いていた日経平均先物は午前終値に比べ一時1000円以上の下落となった。政策修正の直接の影響を受ける国債市場では、午前に0.25%だった長期金利(10年物国債利回り)が0.460%まで上昇(国債価格は下落)し、2015年7月以来の高水準となった。

 もともと日本の金利は世界的に低水準だ。一方で欧米はインフレ退治のために政策金利を引き上げている。外為市場ではここ一年ほど、日米金利差の拡大に注目した円売り・ドル買いが進んできた。ここで金利が上昇すれば、海外との金利差は縮まる。円売り・ドル買いのポジションの巻き戻し(円買い・ドル売り)が発生し、一気に4円近い円高が進んだ。

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