「リーダーシップに疑義があり、経営の改善を主導できない」──。
金融庁幹部がここまで厳しく批判する相手は、みずほフィナンシャルグループ(FG)の坂井辰史社長だ。2021年に入ってシステム障害を8回も起こし、再発防止に追われるみずほFGだが、金融庁はそのトップとして坂井氏を「落第」と判断。11月中に出す業務改善命令で、一連の障害の責任を取って辞任するよう促すことにした。
行政処分の見通しを把握したみずほFG側も動き出した。坂井社長が辞意を固め、社外取締役で構成する指名委員会は「ポスト坂井体制」の協議に着手する。

トラブルの背景に「社長流の人事」
18年4月、坂井社長はみずほ証券社長からFGのトップに抜てきされた。前任のFG社長だった佐藤康博FG会長は、当時「任務に対する覚悟、公平さを持つ人格と幅広い経験から選ばれた」と語っていた。
ただ、社長レースではあくまでダークホースと位置づけられていた。そのため「安定した経営を続けるため、自身に近い人材を周囲にそろえて、諫言(かんげん)する幹部は遠ざけた」(みずほ銀行幹部)。
みずほの勘定系基幹システム「MINORI」は、事前に点検作業が徹底されていなかった。トラブル発生後も経営陣への情報共有が遅れ、復旧まで時間がかかった。金融庁関係者は「坂井社長流の人事が定着し、業務に適切な体制が整備されなくなった結果のトラブルだった」とみる。
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