りそなホールディングス(HD)は、連結子会社の関西みらい銀行とみなと銀行を傘下に持つ関西みらいフィナンシャルグループ(FG)を完全子会社化すると発表した。関西みらいFG株の51%を保有するが、TOB(株式公開買い付け)などで全株取得を目指す。23%を保有する三井住友FGはりそなの求めに応じて関西みらいFGの全株を手放す見通し。今後、関西みらいFGは上場廃止となる予定だ。

肘タッチする関西みらいフィナンシャルグループの菅哲哉社長(左)と、りそなホールディングスの南昌宏社長(写真:共同通信)
肘タッチする関西みらいフィナンシャルグループの菅哲哉社長(左)と、りそなホールディングスの南昌宏社長(写真:共同通信)

再編への臆測高まる

 その発表記者会見で、りそなのトップが語ったある言葉が金融関係者の注目を集めた。

 「関西みらいFGは、伸びしろが大きい。今後、関西圏において地域金融機関の再編のプラットフォームとして機能してほしい」

 りそなHDの南昌宏社長が、完全子会社化しても関西みらいFGを残す意義について、こう述べたのだ。多くの報道陣が見守る公式な場でのやや踏み込んだ発言は、さまざまな臆測を呼んだ。記者会見のさなかに日銀が、経費の削減や経営統合を進めることを条件に、銀行が日銀に預ける当座預金に年0.1%の金利を付ける新制度を始めると発表したことも、そうした思惑に拍車をかけた。

 りそなHDは関西みらいFGの完全子会社化によって、低金利などで経営環境が厳しい中、グループの一体化で改革の意思決定のスピードを速め、収益の底上げを図る狙いがある。具体的には、りそなHD、関西みらいFGの間接部門をスリム化させ、関西の重複エリアの店舗統廃合を進め、りそな銀行と関西みらいFGの共同店舗を増やすなどの施策を急ピッチで進める。完全子会社化によって別の株主に流出していた原資をりそなグループの内部に取り込めるようにし、資本を充実させる方針だ。コロナ禍で経済の先行きに不確実性が高まる中、まずはグループの収益構造を強化、融資や劣後ローンといった資本性資金供与など、コロナ対応に万全を期す。

高コスト体質の厳しい現実

 だが、りそなHDが地銀再編の軸になれるのかについては、「時間がかかるのでは」とみる関係者は多い。

 ある金融関係者は「りそなは再編についてどうしようか迷走しているように見える。関西みらいの効率化が思いのほかうまくいっておらず、苦労しているようだ。まずグループ内で関西みらいの改革を迅速化させることが先だろう」と語る。

 関西みらいFGは、三井住友系のみなと銀行と関西アーバン銀行、りそなHD系の近畿大阪銀行の3行が経営統合して誕生した。みなと銀はFGに残し、関西アーバン銀と近畿大阪銀が合併して関西みらい銀行が誕生、関西みらいFG傘下に2行がぶら下がる形となっている。

 再編を考える上で、ネックの一つになるのは、関西みらいFGの高い経費率(OHR)だ。営業経費を業務粗利益で割って算出するOHR(20年3月期)は、りそな銀行と埼玉りそな銀行の合計で60.3%だが、関西みらいFGは80.7%と突出して高い。特に関西みらい銀は20年3月末時点の行員数(約4600人)、店舗数(272店)は全国の地銀で最も多い。

 この高いコスト体質に、本来ならば筆頭株主のりそながメスを入れなければならないが、完全子会社ではなかったため想定以上には進まなかった。りそなHDは今春、22年度末までに関西みらいFGの約370店を約280店に減らして経費を抑える方針を示している。90店統廃合の中には、りそな銀との共同店舗化も含まれているが、現状、共同店は1店にとどまっている。「りそな、関西みらいの大阪府でのシェアは約25%。2行が異なるブランドで攻めることは合理性がある」(南社長)と、関西みらいの“りそな化”を否定する。ただこれまで以上に両行の協力体制が高まることは間違いなく、その分、どこまでどのようにシナジーを生かすかという点について、議論も、それに費やす時間もかかるだろう。

遠いスーパー・リージョナル・バンクへの道

 今後の他行との経営統合など、再編する際の条件について、関西みらいFGの菅哲哉社長はこう語った。「まず、何か具体的な話はない。その上で言うと、あくまでも地域にどう貢献できるか。どのような形の統合でも、地域の成長に資するかが大きな判断のポイントになるのではないか」。今後、関西みらいFGがりそなの完全子会社化でどう生まれ変わり、どのように地域貢献ができるのか。

 まずりそな自身がそれを示せなければ、旧大和銀行の流れをくみ、02年のりそな誕生から目指している、新しい地域金融の連合体「スーパー・リージョナル・バンク」への道は近づいてこない。

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