みずほ信託銀行の梅田圭社長が日経ビジネスのインタビューに応じた。政府が「貯蓄から投資へ」と訴え、投資家が株主から取締役となって企業統治に携わる時代に、信託銀行の潜在的なニーズは高い。とりわけみずほ信託は、みずほフィナンシャルグループ(FG)の中でも企業風土改革の先駆的な存在だ。トップに現状認識と今後の展望を聞いた。

梅田圭(うめだ・けい)氏
梅田圭(うめだ・けい)氏
1988年、慶応大学経済学部を卒業し安田信託銀行(現みずほ信託銀行)に入行。主に不動産畑を歩み、海外勤務や企画部門も経験。執行役員、常務執行役員を経て2020年4月から現職。福岡県出身。56歳。(写真:吉成 大輔、以下同)

岸田文雄首相は「新しい資本主義」の実行計画で、個人の金融資産を貯蓄から投資に促す姿勢を打ち出しました。信託サービスに対する注目度、期待感が高まっています。

みずほ信託銀行の梅田圭社長(以下、梅田氏):富裕層であれば5億円の不動産1棟を買うこともあるのでしょうが、やはり限られています。不動産分野のSTO(デジタル証券化して株式のように自由に売買できるようにする仕組み)で投資側に入ってくるのは、どちらかと言えば財産の総額が少ない個人です。ここに対し、ブロックチェーン技術を使いながら、我々の不動産信託の規模で投資の拡大につなげていきます。

 また30代くらいからお金がためられるような状況になってきて、みずほグループもそこにフォーカスした戦略を立てています。その中で信託銀行として、もうひとつ上の世代による事業や資産の承継という「ど真ん中の商売」をどう伸ばしていくか。新型コロナウイルス禍の不安が響いているのか、最近は40代から承継の相談がとても増えています。財産権は子どもに、会社の運営権はボードメンバーにそれぞれ移すようなオーダーメード型の商品をさらに充実していきます。

ESG(環境・社会・企業統治)やSDGs(持続可能な開発目標)が絡み、サプライチェーン全体でビジネス転換のニーズが広がっています。信託銀行はどのような役割を果たせますか。

梅田氏:サステナビリティーへの取り組みやパフォーマンスを資金の調達金利と連動させる「サステナブル・サプライチェーン・ファイナンス」について、電子記録債権を活用した国内初の仕組みを2023年3月に導入する予定です。手形を発行するコストや管理負担の軽減など、大きなメリットが期待できます。

 また環境対応については、カーボンニュートラル(温暖化ガス排出量実質ゼロ)の達成基準のコントロールを、さらに積極的に手伝いたいと考えています。特に大手の製造業では、取引先である中堅・中小企業の二酸化炭素排出量を抑える動きが活発になってきました。取り組みに対するファイナンス面の優遇をより充実させていきます。

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