新生銀行は10月21日、SBIホールディングス(HD)のTOB(株式公開買い付け)に条件付きで反対を表明し、買収防衛策発動に向けて動き出した。買い付け株数に上限があることや、SBIHDが提案するシナジーは効果が限定的になるなどとして「当行の企業価値ないし株主の共同の利益の最大化を妨げる」と経営陣が結論付けた。

 SBIHD側がこうした懸念を払拭するなら「TOBに賛同する」と条件を付けたが、SBIHDは同日夜、「TOBが新生銀の企業価値および会社の利益、株主共同の利益を毀損するものではないことは明白だ」などとするコメントを出し、立場を変えない意向を示して新生銀の要求を突っぱねた。銀行界初の「敵対的TOB」に発展することになった。新生銀は11月25日開催予定の臨時株主総会で、買収防衛策の発動を審議する。

(写真:ロイター/アフロ)
(写真:ロイター/アフロ)

具体的対抗案を示せず

 新生銀は既に、買収防衛策の導入を決めており、TOBへの賛否について留保していた。今回、反対を表明するのは既定路線だ。ただ、大株主の一つである国側は「SBIHDのTOBに賛成している」との見方もあり、買収防衛策の是非を通じたTOBに関する株主の支持争奪戦になれば、苦しい立場に追い込まれる可能性がある。

 苦境を打開するためには、新たな株価向上案を示す必要がある。ところが、この日の発表では目新しいものはなかった。新生銀は、大手行として唯一、過去注入した公的資金約3500億円を返済できていない。

 国側が保有する新生銀株式は、2008年に優先株から普通株に転換されており、全ての株主を平等に扱う「株主平等の原則」によって国側への公的資金返済を優先して実施できない状態になっている。公的資金返済において、新生銀に残された道は、株価を向上させること以外にほぼない。

 新生銀も公的資金返済のために必要なことについて「株主平等原則の順守などを踏まえ数々の投資銀行、弁護士とも協議したが、『ウルトラC』はなく、企業価値向上、株価向上しかない」と認めている。

 おそらく株主が最も関心があるといってもいい今後の企業価値向上策について、この日、工藤英之社長はどのように語ったのか。

続きを読む 2/2 さらなる具体的株価向上策を

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