三井住友信託銀行とみずほ信託銀行は9月24日、議決権行使の集計を受託している企業の株主総会において、取締役の選任の賛否などを記載した書類について適切な事務処理をしておらず、一部の株主の意見が反映されていなかったことを発表した。三井住友で東芝を含め計975社、みずほで計371社にこうした事案が見つかった。議案の成否に影響を及ぼす事案はないとしているが、会社法で保障する株主の権利を損ないかねない異例の事態に金融関係者の間で動揺が広がっている。

記者会見で謝罪する三井住友信託銀行の海原淳専務執行役員(手前から2人目)ら(写真:共同通信)
記者会見で謝罪する三井住友信託銀行の海原淳専務執行役員(手前から2人目)ら(写真:共同通信)

都内発送で到着に4日間も?

 一連の問題の原因とされたのは「先付け処理」と呼ばれる行為だ。本来の到着日よりも1日早く郵便物を受け取るもので、三井住友、みずほの両信託銀が折半して設立した「日本株主データサービス」(東京・杉並)と郵便局で取り決めをしていた慣例だった。

 この手続きだと、期限日当日に到着した行使書は、期限内に信託銀側が受領することになるが、先付け処理をしているため、銀行側は翌日来たものと見なし、集計対象から外していた。

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