新型コロナウイルス禍に苦しむ企業を救ってきた「ゼロゼロ融資」というカンフル剤。返済が始まれば、経営改善が見通せず「ゾンビ」となった企業があぶり出される。不良債権化が続発する事態を避けようとする、支援機関の闘いは新たな局面に入る。

■本シリーズのラインアップ
コロナ融資で延命 過剰債務「ゾンビ企業」日本を揺らす
・ゼロゼロ融資は「打ち出の小づち」 後遺症に身構える銀行(今回)

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)

 「今まではやや甘い見積もりも通したが、難しくなってきた。目いっぱい切り詰めて、ギリギリの最低限まで精査してもらえないか」──。

 新型コロナウイルス禍の第7波に収束の兆しが見えてきた2022年8月末、関東地方で飲食店チェーンを展開する社長は、地方銀行の融資担当者からこう告げられた。

 このチェーンが実質的に無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」を受けたのは20年夏だった。売上高が前年に比べ4割減る時期が続き、資金繰りに窮して約1500万円を借りた。

 21年10月から返済を始められる程度まで、経営は何とか立て直すことができた。新型コロナの感染が再び広がっても、店舗の営業は強く制限されずに済みそうな状況を感じた社長は、「今こそ反転攻勢のチャンス」と考え、7月に入って新たな融資を模索してきた。店舗の一部改装や、提供するメニューのリニューアルに資金の用途を絞り、銀行側に約1000万円を打診した。

 しかし事業計画は差し戻された。審査の最終段階ではねつけられたのだった。「このタイミングの拡大路線はまだリスクが相当に高い」。そんな銀行の回答を、社長は「消極的な貸し渋りに遭った」と振り返る。

 政府は外国人観光客の受け入れ制限を緩和したり、感染者や濃厚接触者の自宅待機期間の短縮を打ち出したりしている。経済活動の正常化が着々と進む一方、金融機関は「ゼロゼロ融資の後遺症」(メガバンク幹部)に身構えている。

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この記事はシリーズ「諸行無常の金融まんだら」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。