(写真=2点:日刊工業新聞/共同通信イメージズ)
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 新生銀行の連結子会社化を目指してTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表したインターネット金融大手SBIホールディングス(HD)。足元19.85%の保有比率を48%まで高めることを目指す。1164億円規模を投じるTOBの狙いはどこにあるのか。

 SBIの「新生株買い」は今年に入ってからスピードを増していた。大量保有報告書を見るとそれは一目瞭然だ。保有比率は報告書提出の基準である5%を超えた2019年12月から、1年をかけて13%になった。だが21年は1月28日から3月末までの2カ月で19.85%まで買い増している。

保有目的を「純投資」から「重要提案行為等」へ

 SBI側は「純投資」目的と投資家等に説明してきたが、新生銀行株のPBR(株価純資産倍率)は解散価値の目安となる1倍を長らく下回っている。配当利回りも0.6%程度と、有望な投資対象とは言いがたい。何か別の思惑があるのは業界関係者の知るところであった。SBIHDは9月10日に関東財務局に提出した変更報告書で、新生銀行株式の保有目的を「企業価値の向上及び株主等の利益のため、重要提案行為等を行うこと」に変更した。

 SBIHDは19年には新生銀行グループの経営陣に対し、「33.4%から48%の株式取得」「経営資源の統合」といった提案も行っていた。しかし賛同は得られず、新生銀行とはSBIが旗振り役となって設立した地域金融機関の支援を通じて地方経済の活性化に取り組む新会社「地方創生パートナーズ」に出資する関係にとどまっていた。その後も協議の機会はあったが、21年1月27日、新生銀行は証券分野でマネックス証券との業務提携を発表する。「マネックスさんとの対比では、弊社で扱っている商品群やIFA(独立系金融アドバイザー)スキームの実績は圧倒的。どういう理由でああいう選択をされたのか、よく分からない」。2日後の1月29日に開かれたSBIHDの決算説明会で、SBI証券の高村正人社長はこう不満を述べた。以降、SBIは新生株の保有比率を急速に高めていく。

 なぜSBIは、これほどまでに新生銀行の取り込みに躍起なのか。

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