デジタル化が急速に進む金融の世界で、業界内でも驚きの「大連合」が生まれようとしている。ネット証券最大手のSBIホールディングス(HD)とメガバンクの三井住友フィナンシャルグループ(FG)が包括的な資本業務提携を結ぶと発表した。SBIHDが実施する第三者割当増資で三井住友FGが796億円を出資し、SBIHDの株式の約10%を持つ事実上の筆頭株主となる。

 両社は2020年4月に戦略的資本・業務提携で基本合意し、さまざまな領域で連携・協業してきた。これまでにも三井住友FGがSBI傘下のスマホ専業証券「SBIネオモバイル証券」に出資したり、三井住友FG傘下のSMBC日興証券がSBI証券傘下の対面営業子会社「SBIマネープラザ」に出資したりするなど、関係を深めてきた。

北尾吉孝・SBIホールディングスCEO(写真=日刊工業新聞/共同通信イメージズ)
北尾吉孝・SBIホールディングスCEO(写真=日刊工業新聞/共同通信イメージズ)

 今回の資本業務提携もその延長と捉えれば何ら不思議はない。デジタル金融、中でもネット証券の強化は、証券部門が他のメガバンクよりも弱い三井住友FGにとって長年の課題だったからだ。両社によれば、今後SBI側は三井住友銀行や三井住友カードの利用者にSBI証券のサービスを提供する。SBI証券、三井住友銀行、三井住友カードの3社で、未来型の金融体験につながる新サービス開発に取り組むことなども発表された。

 個々の事業会社ならともかく、メガバンクの持ち株会社がネット証券をはじめとする総合金融サービスの持ち株会社、SBIHDに出資するのはこれまでの流れからすると異例だ。

 6月23日にオンライン説明会を行った三井住友FGの安地和之企画部長は「SMBC(三井住友銀行)―SBI連合の象徴として持ち株会社間の資本提携を先行して行う」と説明。今回の資本提携がさらなる連携強化を示すものであると強調した。しかし、三井住友のある関係者は「当初はSBI証券に出資する方向でまとまっていたようだ」と話す。

 結果的に持ち株会社への出資となった背景には、SBIHDの財務状況が関係しているといわれている。21年に約1100億円を投じ、株式公開買い付け(TOB)で傘下におさめた新生銀行は、公的資金約3500億円を返済しなければならず、債務を抱えている。それだけに、財務基盤の安定化は必須条件だった。

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