「相当になめられていることは確かだ」――。

 6月24日夕、ある金融庁幹部は言葉少なに苦々しく語った。21日に開かれたみずほフィナンシャルグループ(FG)の株主総会におけるひとコマに、時間がたってもいら立ちを隠さなかった。

 東京・丸の内の東京国際フォーラムで午前10時に始まった第20期定時株主総会は、現地に492人の株主が集まった。ライブ中継の視聴者はピーク時で936人。新型コロナウイルス禍への対応で中継が導入された2020年以来、最も参加者が多い総会となった。

 金融庁関係者が引っかかったのは株主との質疑応答だった。4人目に登壇した株主の男性が、相次いだシステム障害に対する金融庁の業務改善命令(21年11月)を巡り、社外取締役の責任についてただした。

 「金融庁から『取締役会がグループCEOや主要経営陣の候補者の人材像について十分に議論していない』と指摘された。特に社外取締役の任期については、役員の新陳代謝を促すために一定の制約を設けるべきではないか」

「代わり映えしない取締役会」が続く

 振り返ってみると、金融庁によるみずほ取締役会の評価は散々だった。株主が挙げた他にも「構造改革に伴うシステムリスクに係る人員削減計画と業務量の状況について、十分に審議していない」と批判していた。

 しかしみずほが今回の株主総会で示した取締役選任議案は、12人の候補者のうち新任は2月に社長に就いた木原正裕氏だけ。それ以外は6人の社外取締役を含めて全員が再任だった。

 金融庁関係者によると、社外取締役だけで構成するみずほの指名委員会は、システム障害を受けて退任した坂井辰史前社長の続投で一時合意。社長を辞めても会長ポストに回し、経営に関与させようとしていた。だから金融庁は処分の際に「取締役会の中でも、とりわけ社外取締役を意識して落第点をつけた」(別の幹部)のだが、木原体制になっても代わり映えしない面々に不満を高めていた。

 市場にも同様の空気が広がっていた。米議決権行使助言会社のインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)は小林いずみ氏、甲斐中辰夫氏、若林資典氏、平間久顕氏、佐藤良二氏、今井誠司氏の6人の再任に「反対」を推奨。同じく米議決権行使助言会社のグラスルイスも甲斐中氏と若林氏について「反対」を推奨した。

みずほフィナンシャルグループ株主総会の質疑応答で登壇した甲斐中辰夫社外取締役
みずほフィナンシャルグループ株主総会の質疑応答で登壇した甲斐中辰夫社外取締役

 みずほはどのように説明するのだろうか。回答者に選ばれたのは甲斐中氏だった。金融庁から求められた経営責任の明確化について「執行に当たる経営者・役員、執行役員を中心に4人が辞任したのは、金融庁の処分の趣旨に沿うもの」と語ると、自身の進退についてこう言及した。

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