「コロナ後に倒産が相次いで不良債権比率が上がる可能性もある。“雨の日に傘を差せる”よう、今のうちに経費節減に取り組まなければ、我々も共倒れになる」

 2021年3月期の純利益が増益だった地方銀行のある頭取は、安堵感よりも危機感を募らせる。晴れの日に傘を貸して、雨の日に取り上げる――。景気悪化などで、業績が悪化した企業への銀行の貸し渋り姿勢を皮肉るこの言葉を踏まえ、そうならないよう生き残りを賭けて財務改善を加速させる方針だ。

(写真:PIXTA)
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コロナ禍で半数以上が増益

 21年3月期の地銀決算が出そろった。野村証券によると、上場地銀・グループ計78社のうち、純利益について増益が39社、減益が33社、黒字転換、赤字転落がそれぞれ3社だった。増益・黒字転換だった銀行は全体の53%で、約3割だった前期と比べて増えた。

 純利益の合計は、融資の貸し倒れを見込んであらかじめ積む与信コストが増えて前期比で約1割減ったが、本業の稼ぐ力を示す一つの指標とされるコア業務純益は11%増となった。貸出金利息などの資金利益も1%増えた。

 しかし、ちょっと待ってほしい。経済活動が制限されたコロナ禍の1年だったのに、増益・黒字転換の企業が増えたのはやや意外だ。以前は「地銀の7割が減益」「28年度には約6割が赤字に」といった厳しい見方もあったからだ。もちろん、半分の銀行は減益・赤字転落なので厳しい現状には変わりないが、コロナで銀行業界の業況が厳しくなるどころか、上向いた金融機関が増えたのはなぜか。

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