「金融不安がある中で上場できたのは大変良かった」。3月29日、東証スタンダード市場に株式を上場したインターネット専業銀行の住信SBIネット銀行の円山法昭社長は、記者会見でホッとした表情を見せた。

無理もない。同行は当初、1年前の2022年3月24日に上場を予定していたが、ロシアのウクライナ侵攻による市場環境の悪化を受け、一旦上場を延期した経緯があったからだ。
もっとも上場延期が正しかったかどうかの判断は難しい。米シリコンバレーバンクの破綻、スイス金融大手クレディ・スイス・グループの経営問題と、金融システム不安の火種がくすぶる中、市場の銀行株を見る目は厳しい。
住信SBIは新しいテクノロジーを活用し他業種に銀行機能を提供するBaaS(バンキング・アズ・ア・サービス)が売りだ。しかし「好調な業績やBaaSの成長期待が株価に反映されていない」(証券アナリスト)。初値は公開価格1200円を約2%上回る1222円で、時価総額は1800億円あまり。前回申請時の想定株価1920円、時価総額3000億円と比べると大きく見劣りする結果となった。
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