「コンプライアンス(法令順守)意識の高い人を配置していた。副社長とは日ごろから接しており、周囲の評価も含め、問題を起こすような人間ではなかった」

 SMBC日興証券の幹部らによる相場操縦事件で、東京地検特捜部は3月24日、エクイティ本部を統括する副社長を金融商品取引法違反(相場操縦)容疑で逮捕。同日夜、記者会見を開いた同社の近藤雄一郎社長は副社長の印象をこう語った。自身の関与については「報告を受けていない」と否定した。

 逮捕された副社長は三井住友フィナンシャルグループ(FG)の中核である三井住友銀行の出身。近藤社長は生え抜きだが、SMBC日興の経営陣には銀行出身者が多い。銀行の関与について、近藤社長は「捜査に関連する内容であり、回答を控えたい」とした。

3月24日、相場操縦で5人が起訴、副社長が逮捕されたことを受け記者会見で謝罪する近藤雄一郎社長(右)ら(写真:竹井 俊晴)
3月24日、相場操縦で5人が起訴、副社長が逮捕されたことを受け記者会見で謝罪する近藤雄一郎社長(右)ら(写真:竹井 俊晴)

親会社の管理責任も

 法人としてのSMBC日興も同日、同法の両罰規定に基づき起訴された。大手証券会社のナンバー2が逮捕され、会社としての刑事責任が問われる前代未聞の事態に発展し、組織的に不正をしていた悪質性が高まった。トップの経営責任、さらに親会社の三井住友FGの監督責任が問われるのは必至だ。金融庁も厳正な行政処分を検討しているようだ。

 会見で、近藤社長は「内部管理上の不備は否定できない」と述べたが、弁護士でつくる調査委員会の調査が進んでおり、詳細な説明を避けた。自身の進退は調査委の報告が出た上で厳正に判断するとの認識を示した。

 一連の不正は、「ブロックオファー」と呼ばれる取引だった。大株主から「株を売却したい」という意向を受け、証券会社がまず買い取り、取引時間外で投資家に売却するもので、株の大量放出によって株価が急落する影響を抑えられる利点がある。

 なぜSMBC日興でこうした不正が行われていたのか。真因は、調査委や当局による調査でその詳細が明らかになるだろうが、原因の一つに「特異な営業スタイルが影響していたのではないか」との見方が広がっている。それはどのようなものか。

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