みずほフィナンシャルグループ(FG)は今後、どこに向かうのか。木原正裕社長と、チーフ・ピープル・オフィサー(CPO)と新設されたチーフ・カルチャー・オフィサー(CCuO)を兼ねる秋田夏実氏に聞いた。

■連載ラインアップ
みずほFG、負の連鎖は止まったか 就任1年、木原改革の現在地
みずほFG、さらば年功序列 人事改革で磨く「One MIZUHO」
・木原社長が語るみずほの使命「日本の国力復活へ、原点に立ち戻る」(今回)

木原正裕(きはら・まさひろ)氏
木原正裕(きはら・まさひろ)氏
1989年、一橋大学を卒業し日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。みずほ証券でリスク統括部長や財務企画部長、みずほFGで常務執行役員やグローバルプロダクツユニット長などを務め、2022年2月から現職。メガバンクグループで初の平成入行組トップとなった。実弟は木原誠二官房副長官。東京都出身。57歳。(写真:吉成 大輔、以下同)

システム障害でピンチだったみずほFGの社長に就いて1年がたちました。特に企業風土改革の現状をどう評価しますか。

みずほFGの木原正裕社長(以下、木原氏):何かに挑戦したり、自由闊達に建設的な意見を言えたりするカルチャーに変えようと取り組んでいます。できるだけ多くの社員と会話してきましたが、みずほを良い方向に導きたい意欲あふれる提案が増え、社内が活発になってきました。

 それでもまだ、理想の2、3合目あたりです。すべての社員が変革を実感できているわけではありません。

システム障害を機に、やはり指摘されたのが旧3行間の対立構造でした。いつまで指摘され続けるのでしょうか。

木原氏:率直に言って、もう存在していません。日本興業、第一勧業、富士の3行が合併し、みずほ銀行が生まれた2002年4月1日に大規模なシステム障害が起きました。その原因に旧3行間のあつれきが挙げられる中で、「旧3行の存在を封じ込める必要がある」という意識が芽生えてしまいました。

 旧3行のDNAはみずほにとって貴重な財産です。それぞれの歴史や経験を統合し、発足した金融グループであるという立ち位置を再認識することが重要だろうと思っています。

 みずほの源流は、日本の社会や経済を、フェアな立場で支援し、創造してきた旧行にあります。(第一勧業の前身である)第一国立銀行は殖産興業を引っ張り、(富士銀の前身の)安田銀行は経営難に陥った多くの銀行を救済し、日本興業銀行も産業再編を推し進めました。

 23年は第一国立銀行の設立から150周年となります。そんな節目だからこそ原点に立ち戻りたいのです。日本の国力をどう復活させるか。これをみずほの大きな命題、ミッションと捉えています。企業のサステナブルビジネス支援も大事ですが、特に中堅・中小企業を再び成長軌道に乗せられるよう尽力していきます。

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