ガソリン、食用油、値段据え置きで量が減る加工食品……。身近な商品の値上がりが相次いでいる背景の1つにあるのが国際商品市況の高騰だ。原油や農産品、金などいわゆるコモディティーの相場の先行きを専門家はどうみているのか、マーケットエッジの小菅努代表取締役/商品アナリストに聞いた。

<span class="fontBold">小菅努(こすげ・つとむ)氏</span><br />マーケットエッジ代表取締役/商品アナリスト<br />筑波大学第一学群社会学類卒。商品先物取引・FX会社の営業部、営業本部を経て、同時テロ事件直後のニューヨークに駐在してコモディティー・金融市場の分析を学びながらアナリスト業務を本格化。帰国後は調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社代表。商社、事業法人、金融機関、個人投資家向けにリポート配信を手掛ける。
小菅努(こすげ・つとむ)氏
マーケットエッジ代表取締役/商品アナリスト
筑波大学第一学群社会学類卒。商品先物取引・FX会社の営業部、営業本部を経て、同時テロ事件直後のニューヨークに駐在してコモディティー・金融市場の分析を学びながらアナリスト業務を本格化。帰国後は調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社代表。商社、事業法人、金融機関、個人投資家向けにリポート配信を手掛ける。

国内ではガソリン価格が13年ぶりの高値水準にあります。原油価格の今後の見通しを教えてください。

マーケットエッジの小菅努代表取締役/商品アナリスト(以下、小菅氏):もともと専門家のメインシナリオは、「2022年は需給が緩む年」というものでした。(1)新型コロナウイルス禍で需要が急減した20年の反動で21年は需要が伸びたが、これが一服する、(2)22年は米国でシェールオイルの増産が進む、(3)OPEC(石油輸出国機構)が供給を拡大する――などが主な理由です。

 ただ、これが本当に実現するのか、足元では五分五分の状況にあります。脱炭素で採掘投資が減っていることが理由として挙げられがちですが、もともとは14年の原油価格の暴落が原因です。採算が見込めないとの判断から、新規の開発投資が絞られてきたのです。これに加え、新型コロナウイルスの大流行で労働者が油田開発地域に入れないといったことが起きました。

新型コロナ禍からの経済活動の正常化や、相場の回復によって採掘投資は回復するのでしょうか。

小菅氏:価格が上がったからといって、すぐに増産はできません。米国は日量100万バレルの増産余地があるとされますが(21年の生産量は日量1120万バレル)、その主な内訳は、過去にいったん掘ったものの放置していた油田での採掘で、新規に採掘したものではありません。

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