「Culture eats strategy for breakfast(企業文化は戦略に勝るほど重要だ)」。2月1日付でみずほフィナンシャルグループ(FG)の新社長に昇格する木原正裕執行役(56)は、米国の経済学者、ピーター・ドラッカーが残したこの言葉を座右の銘にしている。

 2021年に入って連発したみずほのシステム障害は、結局12月30日まで続いて計9回に上った。新年を迎えて心機一転、と思いきや、早くも1月11日に起きてしまった。

 11月の業務改善命令で、金融庁に「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない」と酷評されたみずほ。今もなお不安定なサービスの立て直しに難儀する姿からは、そんな企業文化が染みついていることがうかがえる。

 木原氏は1月17日の記者会見で「人の意見を聞くのが私の特長であり、その観点からカルチャーを作っていく。現場に入って社員と意見を戦わせながら、より良いみずほを作っていきたい」と誓った。心中ではドラッカーの名言が重く響いていただろうが、風土改革は容易ではない。

課題が山積するみずほFGの舵(かじ)を取る、木原正裕新社長(写真:共同通信)
課題が山積するみずほFGの舵(かじ)を取る、木原正裕新社長(写真:共同通信)

前任社長とは異なる周囲の評判

 木原氏は東京都新宿区出身。銀行一家で育ち、実弟は木原誠二官房副長官だ。小学生から現在までアイスホッケーを続けており、一橋大法学部に在学中は主将も務めた。

 旧日本興業銀行に入ったのは1989年。若手時代はシンジケートローンのマーケット拡大に取り組み、米デューク大のロースクールにも留学した。管理畑が長く、銀行や証券、FGでリスク管理や企画、財務を担当。直近ではグローバルプロダクツユニット長として、企業のM&A(合併・買収)や国内外の決済業務などにあたった。

 みずほ内の評判は総じて良い。自らアピールしている通り「人の話をよく聞く。物事を公平に判断し、相手が上司でも言うべきことは言う」(みずほFG幹部)。強いリーダーシップで収益を回復させる一方、「自身に近い人材を周囲にそろえて諫言(かんげん)する幹部は遠ざける」(みずほ銀行幹部)と批判されてきた前任社長の坂井辰史氏とは、だいぶ異なると言っていい。

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