岸田文雄首相や自民党の派閥領袖らが会食や会談を重ねるさまが注目を集めている。意見交換や関係強化といった狙いに加え、「会う姿」をあえて見せることで存在感が高まり、今後の政局を占う舞台装置にもなっている。新型コロナウイルス禍で対面での会合がやりづらい状況が続いたことは菅義偉前首相の政権運営にとって大きなマイナスだった。SNS時代でも、自民党のベテラン議員が「会って一緒に時を過ごす」ことを重視する理由とは。

 臨時国会閉幕後、永田町では岸田文雄首相や自民党の派閥領袖らの相次ぐ会合、会談が関心を集めた。

 12月22日夜、安倍晋三元首相と自民の麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長が都内の日本料理店で会食した。党内最大派閥の安倍派、第2派閥で並ぶ麻生、茂木両派の会長が顔を合わせたことになる。

安倍・麻生・茂木の3氏に首相が配慮

 3氏は第2次安倍政権時を通じて良好な関係を維持しており、参院選に向けて岸田文雄政権を支えることを確認したという。党内第5派閥の岸田派を率いる岸田首相はこの3氏との連携を軸に党内基盤を固める戦略で、3氏や3つの派閥は岸田政権における主流派と位置づけられている。

(写真:ロイター/アフロ)
(写真:ロイター/アフロ)

 首相は翌23日、この3氏への配慮を示した。午前に党本部に向かい、麻生、茂木両氏と参院選などを巡って協議した。さらに午後には安倍氏の国会内の事務所を訪ね、2022年2月から予定する北京冬季五輪・パラリンピックの対応などについて意見を交わした。

 首相はさらに24日にも都内のホテルで麻生氏、茂木氏と昼食を共にした。この席には松野博一官房長官も同席。4氏は11月下旬にも会食し定期的に会合を開くと確認していた。22年1月召集の通常国会で22年度予算案や重要法案を速やかに成立させる方針で一致し、来夏の参院選などについても話題に上ったという。

 首相や麻生氏、茂木氏、安倍氏はお互い重要な案件があれば電話で話す間柄だ。それでもこの政権のキーマンが連日のように会食や面会を重ね、そうした姿を見せるのは、お互いに大きなメリットがあるためだ。

 「もちろん気が合うから頻繁に会っている面もあるだろうが、岸田首相の立場からすれば、党の要である麻生さん、茂木さん、さらに保守層から支持を集める安倍さんとの緊密な関係を党内外にアピールすることで、安定的な政権運営につなげようという思惑がある。麻生さんは影響力を維持していることを示し、将来の総裁候補に躍り出た茂木さんにとっても、首相や安倍さん、麻生さんとの関係強化は次を狙う意味でも重要だ」

 「安倍さんも首相の人事や中国への対応などを巡って不満があるが、良好な関係を維持しつつ保守派の中心として首相にものをいっていくことが自分の役割であり、求心力を保つことにつながると分かっている」

 4人の関係をよく知るある閣僚はこう解説する。

 これに対し、こうした政権の屋台骨となる面々と「会う姿」を見せることができず、対応に苦慮したのが菅義偉前首相だった。

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