順調な滑り出しを見せていた菅義偉政権が難局を迎えている。新型コロナウイルス対策への低評価が要因で内閣支持率の急落に見舞われ、「Go To トラベル」事業について全国一斉の一時停止に追い込まれた。政策面の成果積み上げで政権基盤を固めるシナリオが狂い、首相にとって想定外の展開だ。政権内では先行きへの懸念が広がりつつある。

(写真:つのだよしお/アフロ)
(写真:つのだよしお/アフロ)

 「1日の新規感染者数が3000人を超える中にあって、年末年始は集中的に対策を講じられる時期だ。そういうチャンスだという思いの中で自ら判断した」

 菅義偉首相は14日、新型コロナウイルス対策本部で観光需要喚起策「Go To トラベル」を全国一斉に一時停止すると決めた後、記者団にこう理由を説明した。

 この日の対策本部でトラベル事業は12月28日から2021年1月11日まで全国一斉に利用を一時停止することが決まった。27日までは従来の札幌、大阪両市に加え東京都、名古屋市を目的地とする旅行を事業の対象から外すことも決定した。

 トラベル事業は菅首相が官房長官時に主導して今年7月から開始した。新型コロナの感染拡大を防ぎながら経済との両立を目指すとする首相の肝いり政策だった。

 政府はこれまで専門家や医療関係者から再三事業の見直しを求められてきたが、「感染拡大の主要な要因とのエビデンス(証拠)は存在しない」(首相)として、慎重な姿勢だった。

 12月11日には政府の対策分科会が感染拡大が続く地域での抜本的な対策強化を求める提言を政府に提出したが、首相は同日のインターネット番組でトラベル事業の全面停止について問われ「まだそこは考えていない」と語っていた。

 それが、地域を限定した対応から急きょ方針の転換を余儀なくされた背景には2つの事情がある。

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