立憲民主党の新代表に泉健太氏が就任し、新体制が船出した。低迷する党勢の回復や来年夏の参院選への対応など多くの課題が待ち受ける。先の衆院選の敗因として共産党との共闘などが指摘されるが、旧民主党による政権交代当時を知る立民のベテラン議員からは「支持が広がらないのは、国民の役に立つと思われていないからだ」といった反省の弁が漏れる。「批判ばかり」のイメージから「政策立案型政党」への転換を掲げる泉氏の下、いかに「変わった感」を出していくのか。

幹部人事で挙党態勢を演出

 立憲民主党の枝野幸男前代表は先の衆院選で共産党との候補者調整を進めたが、公示前の110議席から96議席に減らし、敗北の責任をとって辞任した。枝野氏の後任を決める代表選を決選投票の末に制した泉健太氏は旧国民民主党出身。今回の代表選では中道から保守を志向する議員の支持を固めたうえ、党内のほかのグループや地方からも支持を集めた。

 泉氏は代表選後、代表選で戦った旧立民の逢坂誠二氏と西村智奈美氏、無所属からの合流組などが推した小川淳也氏のいずれも執行役員に起用する考えを表明していた。これを踏まえ、泉氏は西村氏を幹事長に起用。逢坂氏は代表代行、小川氏は政調会長にそれぞれ充てた。また、国会対策委員長に馬淵澄夫氏、選挙対策委員長に大西健介氏がそれぞれ就任した。両氏とも代表選で泉氏を支持しており、国会対応や来年の参院選への準備を進める要のポストに自らに近い議員を配置した。

立憲民主党の代表に就いた泉健太氏(右から2人目)は、代表選で戦った逢坂誠二氏(右)や西村智奈美氏(左から2人目)、小川淳也氏(左)を役員に起用した(写真:共同通信)
立憲民主党の代表に就いた泉健太氏(右から2人目)は、代表選で戦った逢坂誠二氏(右)や西村智奈美氏(左から2人目)、小川淳也氏(左)を役員に起用した(写真:共同通信)

 立民は2020年9月の旧立民と旧国民民主党の合流に伴い、党内にはリベラル系と保守系が混在する。原子力発電所や安全保障など主要政策の方向性で食い違いがあり、「代表選で路線の違いが顕在化すると党分裂に突き進みかねない」(ベテラン議員)との懸念も出ていた。このため、候補者同士の白熱した論戦が注目を集めた先の自民党総裁選と比べ盛り上がりを欠いた代表選となったが、泉氏はまずは人事で挙党態勢を演出し、党内融和を図る狙いだ。

 新体制の前途は多難だ。野党第1党として岸田文雄政権へのチェック機能とともに、政権の受け皿として認識されるように経済・財政や外交・安全保障といった基本政策で現実的な絵姿を示し、党の売りとなる看板政策を練り上げることが求められる。ただ来夏の参院選を控え、時間的猶予はあまりないのが実情だ。

 まずは12月6日に召集される臨時国会が試金石となる。泉氏は代表選で「立民は批判ばかりというイメージを転換しなければならない」として、「政策立案型政党」への転換を掲げた。国会論戦などを通じてどう具体化していくのかがさっそく試される。

 参院選に向けて焦点となるのが共産党との共闘の見直しだ。立民は衆院選前に共産と政権交代時の「限定的な閣外からの協力」で合意し、小選挙区で共産党を含む野党間で候補者の一本化を進めた。小選挙区で議席を増やした一方、比例代表でそれ以上の議席を減らす結果に終わった。

 泉氏は代表選後の記者会見で、この共産党との合意について「単に継続ではなく、党として総括しなければならない。その中で今後のことは考えていきたい」と述べ、見直す考えを示した。

 支持母体の連合が共闘の見直しを強く求める一方、共産党の志位和夫委員長は立民との合意について「わが党は誠実に順守したいし、立民にもそういう立場で対応してもらいたい」と繰り返している。泉氏は参院選の1人区で野党間の候補者調整に引き続き取り組む考えだが、連合や共産党、日本維新の会と距離を縮める国民民主党などとの協議は難航が予想される。

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