自民党の岸田文雄総裁は4日の国会で第100代首相に選出され、岸田内閣が発足した。首相は就任後初の記者会見で「最優先の課題である新型コロナウイルス対策に万全を期す」と強調。「可及的速やかに総選挙を行い、国民から信任をいただいて国政を担っていく必要がある」として衆院を今月14日に解散し、19日公示、31日投開票の日程で衆院選を実施する考えを示した。首相は自民党役員・閣僚人事で主要派閥への配慮と若手抜てきなど独自色のバランスに腐心したが、安倍晋三元首相が不満を漏らすなど火種がくすぶる。まずは目前に迫る衆院選を乗り切り、政権基盤を固めることができるかが岸田政権の命運を左右する。

岸田文雄首相は4日の就任後初の記者会見で、「まず喫緊かつ最優先の課題である新型コロナウイルス対策に万全を期す」と語り、コロナ対策を軸とする数十兆円規模の経済対策を迅速に策定する意向を表明した。
さらに「国民の皆さんの不安に応えるため、ワクチン接種、医療体制の確保、検査の拡充について、様々な事態を想定した対応策の全体像を早急に国民の皆さんに示す」と強調した。
新内閣は「新時代共創内閣」
首相は自身の内閣について「新時代共創内閣」と説明した。経済政策では新しい資本主義の実現を目指すと表明。「成長と分配の好循環を実現し、国民が豊かに生活できる経済を作り上げていく」と述べ、「新しい資本主義実現会議」を設けると表明した。分配政策の強化に向け、金融所得課税の引き上げや賃上げした企業への税制優遇策などを議論する見通しだ。
衆院選については、今月14日に解散し、19日公示、31日投開票の日程で実施する考えを示した。政府・与党内ではこれまで10月26日公示、11月7日投開票の日程が有力視されていた。
前倒しの判断をした理由について、首相は「コロナ感染の状況は現在落ち着きを見せているとはいえ、先行きについては不透明だ。一刻も早く大型で思い切ったコロナ対策、そして経済対策を実現したい。そのためには、いの一番にこの岸田にお任せいただけるのかどうか御判断を頂き、国民の信任を背景に信頼と共感の政治を動かしていきたい」と説明した。
新政権発足で高まる期待が維持できる間に投開票日を迎えるのが得策との判断に加え、「新型コロナの感染が再拡大すれば政権への批判が強まる。そうした展開を首相が懸念したことも大きい」と首相周辺は指摘する。
ただ、新政権の政権運営や看板政策の絵姿が見えない中での「即解散」戦略に野党は批判を強めている。首相の判断が吉と出るか凶と出るかは不透明だ。
この記事は会員登録で続きをご覧いただけます
残り3010文字 / 全文4106文字
-
U29対象デビュー割実施中!5/31締切
今すぐ会員登録(無料・有料) -
会員の方はこちら
ログイン
日経ビジネス電子版有料会員になると…
特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題
ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題
日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題
この記事はシリーズ「安藤毅の「永田町・霞が関のホンネ」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?