菅義偉首相の後継を選ぶ自民党総裁選が17日、告示された。河野太郎規制改革相、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行の4氏が立候補した。自主投票を求める若手議員の動きを踏まえ、党内7派閥のうち岸田派を除く6派閥が支持候補を一本化しない選挙戦となる。河野氏は世論の支持を追い風に1回目の投票で勝ちきる戦略を描くが、上位2人の決選投票にもつれこむ展開が現実味を帯びる。次期衆院選の「選挙の顔」としての要素や政権を担うための安定感、今後の論戦での説明力が支持の広がりを左右しそうだ。

(写真:共同通信)
(写真:共同通信)

 いち早く総裁選に出馬表明した岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、河野太郎規制改革相に続き、推薦人20人を確保した野田聖子幹事長代行も立候補にこぎ着けた。女性が複数出馬する総裁選は初めてとなる。今月29日に投開票し、新総裁を選出する。

 菅義偉首相の出馬見送りで構図が一変した今回の総裁選。最大の特徴は、すぐ後に衆院選を控え、「選挙の顔」を選ぶ機会となることだ。そうした状況を踏まえた中堅・若手議員の訴えで、多くの派閥が支持候補の一本化を見送り、事実上の自主投票になったことも大きな注目点だ。

「派閥一任」回避の背景に若手の動き

 中堅・若手議員の多くはそれぞれの地元で、低支持率にあえぐ菅首相や二階俊博幹事長らの党運営への強い批判を痛感。選挙への不安から首相や二階氏の交代や党改革を求める声が広がった。最初に総裁選への出馬を表明した岸田氏が党役員任期を1期1年で連続3期までに制限する案を提示し、二階氏の再任を事実上否定したのはこうした議員心理に対応するものだった。

 さらに福田達夫氏ら当選3回以下の衆院議員90人ほどが「党風一新の会」を設立。党改革の必要性に加え、総裁選について「派閥一任でなく、議員が自分の意思で投票行動を決め、説明できる形を担保してほしい」とアピールしたことも響いた。

 現在、自民党の衆院議員のうち当選3回以下が5割近くを占める。昨秋の総裁選は党内7派閥のうち最大派閥の細田派など5派閥の支持を得た菅首相が圧勝したが、今回は「派閥の締め付け」に多くの議員や世論から批判が高まるのは必至。若手議員の造反が増えれば派閥幹部の影響力や派閥の存在意義が揺らぎかねない状況となり、岸田派を除く6派閥が支持候補の一本化を見送る事態となった。

 総裁選は国会議員票383票と党員・党友票383票の合計を争う。今回のように4人が立候補し、1回目の投票で1位が有効票の過半数に達しない場合、上位2人の決選投票となる。

 決選投票は1人1票の議員票383票と各都道府県連に1票ずつ割り振る地方の47票を合わせた430票を争う。1回目に比べ、議員票の重みが格段に増す仕組みだ。

 ただでさえ派閥ごとに議員票を積み上げる「票読み」が難しい中、野田氏も出馬したことで混戦模様に拍車がかかった。党内では「1回目の投票でどの候補も過半数を確保できない可能性が出てきた」との見方が広がる。

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